この夏オリンピック・パラリンピックが開催されるフランス・パリ。実は、そのフランスではテロ警戒レベルが最高水準に引き上げられていますが、警備員が足りません。現状を取材しました。
およそ3か月後にオリンピック開幕を控えたパリ。急ピッチで準備が進められているところですが、いま問題となっているのは…
記者
「こちら警備員の養成所です。きょうは客が危険物をもっていないかどうか、ボディチェックの授業が行われています」
警備員が不足しているのです。
フランスで警備員になるためには、国が認定する訓練機関で検問や応急処置の方法などを受講する必要があります。
この日行われていたのは、会場入りする観客の手荷物検査の講座。
講師
「いいのか、まだ見ていない場所がある」
受講生
「スカーフか!」
講師
「フードの中をチェックしていないでしょ。フードを見ていないから何かを隠しても簡単に入られた」
およそ30万人が集まると見込まれる開会式は、史上初めてスタジアムの外、パリ中心部を流れるセーヌ川で行われることなどもあり、より広範囲での警備が必要ですが…
受講生
「仕事に就きやすいと聞いたので訓練を受けようと思いました」
「警備員は年齢と関係なくできる。やる気さえあればいいので、あとはオリンピックに備えるだけです」
テロの恐怖に直面するヨーロッパ。
およそ50年前のドイツ・ミュンヘンオリンピックでは、パレスチナの過激派がイスラエル選手団11人を人質に取り全員死亡する事件が起きました。
中東情勢の緊張が続くなか、テロ対策は最大の課題で、今回必要とされる民間警備員の数は1日あたり最大2万2000人。政府はオリンピック用に受講時間が短いコースも新設しましたが、訓練を受けた人は先月末の時点で1万8000人にとどまっています。
訓練施設の担当者は…
警備員訓練所マネージャー ロイク・ドゥヴァル氏
「2年前と比べて受講者は2、3倍で、需要はまだまだあります。ただ、訓練を受けた人のうち、どれくらいが実際にオリンピックで働くのかは予測できません」
最終的に警備員の数が揃うかは分からないということです。
先月、ロシアのモスクワ近郊で起きたテロ事件を受け、警戒レベルを最高水準に引き上げたフランス。政府は、働き口を求め職業安定所を訪れる人にも警備員の訓練を受けるよう呼びかけ、養成を急いでいます。
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