富士山とローソンが映った景色、外国人観光客に大人気だということですが、30日から「大きな黒い布で隠す」工事が始まりました。一体なぜなのでしょうか。
■“映えスポット”に訪日客殺到
住民は我慢の限界です。
近隣住民
「海外から多くの人が来るのは、決して悪いことではないと思うが、交通道徳も守られない、赤信号を平気で渡る」
怒りの現場は風光明媚な富士山の麓、山梨県富士河口湖町。外国人が殺到しているのは駅のそばにあるコンビニエンスストアの駐車場です。
ロシアから来た人
「この後ろに富士山が見えるから、皆が写真を撮りに来ると知ったんだ。富士山は見えないけど、後でここに描くよ」
30日はあいにくのくもり空。富士山は、かすんで見えませんが、晴れた日はコンビニ越しに大迫力の富士山を臨むことができます。
この景色がSNSなどで拡散され、たちまち外国人観光客に人気の撮影スポットになりました。
スウェーデンから来た人
「すごくいい。スウェーデンからはるばる見に来たよ。ここからの富士山の眺めがすごく有名なんだ」
中国からから来た人
「SNSで写真が拡散されていたから写真を撮りに来たよ」
なんでも富士山がコンビニの屋根のように見えるのがウケているそうです。
■ポイ捨て&危険な横断 地元困惑
ただ、人気が過熱するあまりトラブルも絶えません。私有地や歩道への侵入が相次いでいるのです。歩道に自転車を止めて撮影する外国人も。
特に困っているのがコンビニの向かいにある歯科クリニックです。入り口前の歩道は、カメラを構えた人々が常にジャック。ウェディング写真を撮る人も…。
井ビシ歯科医院
「(患者が)人が多いと怖くて、先生入れませんというので、そういう影響があります」
さらに…。
井ビシ歯科医院
「きょうもありますかね。ごみ拾いくらいは自分でやればいいんだけどもね」
私有地で飲み食いしたごみをポイ捨て。挙句にはクリニックの駐車場で無断で商売する人までも。撮影を代行するようです。
こうしたマナー違反だけでなく、危険を顧みない行為も相次いでいます。町は警備員の配置や看板を設置するなど対策を続けてきましたが、改善は見られませんでした。
■苦肉の策で「富士山隠し」
そこで町は苦肉の策を取ることに。30日、始まった工事。目的は「富士山隠し」です。コンビニの反対の歩道に黒い目隠しの幕を張って富士山を撮れなくしようというのです。ゴールデンウィーク中の完成を目指しています。
海外メディアも反応し…。
CNN
「富士山の撮影スポットに観光客殺到。地元自治体が高さ8フィートの幕設置へ」
日本のオーバーツーリズムが深刻化していることを伝えました。外国人観光客は…。
ジャカルタから来た人
「残念だけど工事していて、そこで写真が撮れない。でも将来のためになるなら我慢するよ」
ロシアから来た人
「納得だよ。そうしないと人でいっぱいになってしまうから」
地元の人は苦しい胸の内を明かします。
井ビシ歯科医院
「世界中から来てもらうので、我々としてもウェルカムだけど、ただやっぱり人が多い。いつ事故が起こるか分からない」
■巨大獅子が意外な人気SNSに
京都も外国人観光客であふれていました。1台のバスでは乗り切れないほどです。
地元の人
「このバスはとても乗れない」
「(Q.本来はこのバスを利用)そうなんです」
観光客が多いため違う路線を使う人も。
大阪・ミナミの神社にも外国人観光客の人だかりができていました。その目的は本殿の参拝かと思いきや、巨大な獅子の顔です。
スペインから来た人
「カッコいいよ。そう思ったから入ったんだ」
50年前、獅子舞や神楽などを奉納する場として作られましたが、今や外国人観光客のフォトスポットとして人気となっていました。
イタリアからの夫婦
「カッコイイデス!!『大阪の面白いところ』と検索したら、この神社が出てきました」
■たばこをポイ!神社は“困惑”
しかし、なかにはお世辞にもマナーがいいとは言えない観光客の姿もありました。
さらに、外国人観光客が多すぎて神社の施設が使用不能になるなど、頭を悩ませる事態が起きていました。
歩きたばこをしている女性。次の瞬間、女性が煙の出た、たばこをごみ袋の中に捨てました。たばこを捨てた女性に話を聞いてみると…。
たばこを捨てた外国人
「(Q.(マナー違反とは)知らなかった?)そうです。ごみ箱に捨てるのが一番いいと思って。できるだけマナーを守りたいと思っています」
周辺には誰が捨てたのかは分かりませんが、様々な種類のたばこも落ちていました。
さらに神社では、頭を悩ませる事態も…。
神社関係者
「参拝者用の仮設トイレを3月に設置しましたが、テッシュが詰まるなどしてこの間、撤去しました。それぞれの国の使い方があるとは思いますが、設置して1カ月ほどの出来事にまさかと驚いています」
神社側は夏の稼働を目標に新しいトイレを設営しています。
外国人観光客のマナー違反について、世界のオーバーツーリズムに詳しい専門家はその対策をこう指摘します。
龍谷大学 政策学部 阿部大輔教授
「観光事業をしている民間事業者の方々から観光事業税のようなものを取る。そういう税金の設定によって、その一部を市民生活の質の改善につなげていくという方法が考えられる。地域内の経済が観光によってもっと回るなど、それが全市民的に実感できるように、これからどう努力をしていくのかというところが課題」
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