病気や災害などで親を亡くした子どもたちを支援する「あしなが育英会」の奨学金の申請者が急増し、採用率が低下し続けている。今年4月に高校へ入学した県内の遺児らに給付する「高校奨学金」の申請者は、前年度より13人増の37人。採用率は45・9%で半数以上の20人が不採用だった。申請者の急増に資金が追いついておらず、同会は27日から那覇市内で実施する街頭募金への協力を呼びかけている。(社会部・垣花きらら)

 今回対象となったのは、中学校在籍中に同会の奨学金に申請した人数。高校入学後に申し込める枠もあり、申請者は今後さらに増える見込みだ。

 物価高に伴う生活困窮世帯の増加や、育英会の高校奨学金が「貸与・給付一体型」から全額給付型に移行したことが背景にあるという。

 全国でも申請者が1800人と1988年の発足以来最多で、半数を超える985人を採用することができなかった。

 同会九州エリア担当の松永響さんは「支援が手厚くなった一方で全員を採用できない苦しさもある。学生に進学をあきらめてほしくない」と募金への協力を訴えた。

 あしなが学生募金事務局の沖縄ブロックマネージャーを務める親川成(じょう)さん(20)は、自身も高校2年の時に病気で父を亡くし、あしなが奨学金を利用して琉球大学に通う。「同じ状況にある学生に、夢をもってもいいんだよと伝えてあげたい。そして多くの人にこの現状を知ってもらいたい」と語った。

 県内では27、28の両日、国際通りのれん街前で正午~午後6時に街頭募金活動を実施する。随時、寄付も受け付けており、詳細はQRコードから確認できる。問い合わせは電話03(3221)0888。

(写図説明)「進学をあきらめず、平等に学べるようになってほしい」と募金を呼びかけるあしなが学生募金事務局沖縄ブロックマネージャーの親川成さん=11日、浦添市

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