リンゴの未利用部分から生まれた甘味料「アップルクリレ」のイメージ=ホテルJALシティ青森提供

 青森県産のリンゴをジュースにした後の搾りかすを原料にした新たな甘味料を地元の企業が開発し、青森市のホテルが料理に使い始めた。砂糖に比べて低カロリーで、食品ロスの削減にもつながると関係者は期待している。

 青森市のホテルJALシティ青森が朝食ビュッフェで提供するビーフシチューや黒酢酢豚、自家製プリンやマフィン、サイダーなどに使用。飲食店などで提供されるのは初の試みといい、利用客からの反応も好評だ。

 「アップルクリレ」と名付けられた甘味料は化粧品原料を製造する日本ハルマ(青森県弘前市)が考案し、弘前大や県産業技術センターと共同で研究・開発を進め、商品化の道を探ってきた。

 同社が持つ「高温圧搾」の特許技術を活用し、従来は廃棄されていたリンゴの未利用部分をさらに搾って原液を抽出し、濃縮した。濃いあめ色で黒蜜のような風味と甘みがある。

ビーフシチューやマフィンのほか、アップルクリレのソースをかけた「田酒」の酒かすプリンなどが味わえる=青森市で2024年4月10日午後1時52分、松本信太郎撮影

 リンゴ果汁100%のジュースに比べ、ペクチンやポリフェノール、カリウムを豊富に含んでいる。調理の際、砂糖の代わりに使えば低カロリーで栄養価が高い料理に仕上げることができる。

 提供のきっかけは2023年12月に県が主催した、地元産品の生産者・食品製造業者と飲食店や宿泊事業者をつなぐ交流会だった。試食したホテルの総料理長がリンゴの未利用部分を使っている点に興味を持ち、料理を試作。4月からの提供が決まったという。

 県食ブランド・流通推進課は「県内事業者間の新たな結びつきを通じて地産地消の拡大を期待したい」と話す。日本ハルマは「フードロスへの取り組みや乳幼児にも安心なアップルクリレを広めていきたい」と、一般家庭への販売も模索している。【松本信太郎】

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