人口戦略会議が公表した消滅可能性自治体で、栃木県内では8市町の名前があがった。10年前に消滅可能性自治体とされた那須町はリストから外れた一方、矢板、益子、市貝の3市町が新たに加わった。該当自治体をはじめ県でも施策を講じているが、人口減少には歯止めがかかっていない。
今回、消滅可能性のある自治体とされたのは日光、那須烏山、矢板の3市と益子、茂木、市貝、塩谷、那珂川の5町。
将来推計人口で最も減少率が大きいとされる茂木町の担当者は「移住相談の件数は県内で最も多い。減少の流れは止められないが、減少幅をできるだけ少なくしたい」と話す。新たに消滅可能性のある自治体となった矢板市の森島武芳市長は「非常に重く受け止めている。(50年に20~39歳の女性が半数以下となるとの予測に)『雇用』、特に『女性の働く』に改めて取り組む必要性を強く感じた」とコメントした。
福田富一知事は24日の定例記者会見で、公表結果について「残念に思う。8プラス1(8市町と県)なのか、25プラス1(県内全市町と県)なのか、消滅克服プロジェクトみたいなことができるかどうかも含め議論していきたい」と述べ、県と市町で脱却に向け、一体的に取り組む考えを示した。
県は、人口減少問題を克服するため2015年に「とちぎ創生15(いちご)戦略」を策定。現在は20年から25年までの2期計画中だ。
柱は出生率の改善と若い世代の転出超過の改善で、少子化対策の緊急プロジェクトも第2弾までまとめた。2060年で150万人の県人口の維持を目標としている。
しかし25年に1・59とした出生率の目標に対し、22年は1・24と全国平均を下回った。また、コロナ禍で緩やかになった若い世代の転出超過も再び増加傾向にあり2500人を超える。
一方、移住・定住の促進で、東京都内にあるふるさと回帰支援センターの窓口相談者が選んだ移住希望地として栃木県は2年連続3位となった。福田知事は「(2位の)群馬県は全市町村センターへ登録しているが、栃木はばらつきがあり加入率が低い。人口減少問題に対する全体的な取り組みが、県も甘いが市町も甘いということでもある」と話した。【有田浩子、藤田祐子】
「消滅可能性」脱却 那須町は安堵
14年に「消滅可能性自治体」に挙げられていた那須町は「脱却できたことは率直によかった」と安堵(あんど)する。町企画政策課によると、20~23年の人口動態調査は転入超過で推移。15年に「ふるさと定住課」を創設し、町営住宅の新築や、リビングシフト推進プロジェクトとして2地域居住やワーケーション(働きながら休暇を楽しむ働き方)の普及を図った。足助浩之課長補佐は「新型コロナ下で急速にリモートワークが進んだことにも後押しされた。引き続き魅力あるまちづくりを目指す」と話した。
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