地震で漆喰上塗りが崩落した米倉の内壁=松山市の渡部家住宅で2024年4月18日午後1時40分(松山市提供)

 愛媛県と高知県で最大震度6弱の揺れを観測した地震は、24日で発生から1週間を迎えた。けが人は両県で12人となり、17日の地震発生以降、余震は24日午後3時時点で60回を超えた。震度5強を観測した愛媛県宇和島市では、ホールの天井の一部が崩れた文化会館で復旧のメドが立たないなど、影響が続いている。

 愛媛県では、地震後に持病の悪化を訴えた松山市の60代の女性が救急搬送され、けが人は計9人となった。いずれも軽傷。高知県のけが人は、震度6弱を観測した宿毛市で重傷2人、軽傷1人の計3人だった。愛媛県は、当面の情報収集や応急対応が完了したとして、22日から災害対策本部を災害警戒本部に移行した。

地震で土壁が崩落した倉の外壁=松山市の渡部家住宅で2024年4月18日午後1時39分(松山市提供)

 ホールの天井の一部が崩落した宇和島市の南予文化会館は、復旧のメドが立たない。音楽コンサートや記念行事などが予定されていたが、全てキャンセルとなった。愛媛県内では、4市町で計9件の文化財にも被害が出た。国の重要文化財では、松山市の渡部家住宅、大洲市の大洲城で壁がはがれ落ちたり屋根瓦の一部がずれたりした。港湾施設では、宇和島市の宇和島港で岸壁に隙間(すきま)や段差があることが確認された。

 21日に同市や愛南町で被災状況を視察した中村時広知事は「今回の(地震の)経験値を生かして検証を進め、南海トラフ地震の対応力を強化したい」と話した。

 高知県宿毛市では、市社会福祉協議会が自力での片付けが困難な高齢者などを対象に、電話で相談を受け付けてボランティアを派遣している。「屋根にブルーシートを張ってほしい」など、24日午後5時までに10件の相談があった。一人暮らしの100歳の女性から「家具が倒れて窓ガラスも割れているので、片付けを手伝ってほしい」との相談も寄せられた。【広瀬晃子、前川雅俊、鶴見泰寿】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。