倒壊の恐れがある「特定空き家」を解体する作業員=茨城県土浦市藤沢で2023年1月16日、庭木茂視撮影

 総務省が25日発表した2023年の住宅・土地統計調査(確報)によると、住宅総数に占める空き家の割合(空き家率)は、政令指定都市と東京都区部(23区)を合わせた21大都市のうち大阪、北九州、静岡、岡山、神戸の5市で全国平均の13・8%を上回った。東京都区部も10・9%と、18年の前回調査から0・5ポイント上昇した。地方だけでなく、大都市でも空き家問題が一段と深刻化している。

 全国の住宅総数は6504万7000戸と前回から4・2%増加して過去最多だった。このうち空き家は900万2000戸(6・0%増)で、こちらも過去最多。中でも賃貸用や売却用、別荘などを除く空き家は385万6000戸(10・6%増)に上り、住宅総数の5・9%を占めている。

 都道府県別の空き家率は、徳島県の21・3%が最高で、和歌山、鹿児島、山梨、高知、長野の各県がいずれも20%超で続いた。前回を下回ったのは山梨、栃木、大阪、茨城、福岡、千葉、滋賀、神奈川、沖縄、埼玉の10府県だけだった。

21大都市別の空き家数と空き家率

 21大都市別の空き家率は、大阪市が前回を1・0ポイント下回ったものの、16・1%で最も高かった。東京都区部で全国平均を上回ったのは豊島区(13・9%)のみだったが、港区13・7%、荒川区12・9%、千代田区12・6%、中野区12・1%などと続き、計19区で1割を上回った。

 空き家は、一戸建てが352万3000戸(全体の39・1%)で、うち80・9%が賃貸用や売却用、別荘などを除く空き家だった。一方、共同住宅の空き家は502万9000戸(全体の55・9%)で、その78・5%は賃貸用が占めた。一戸建ての方が、共同住宅よりも「引き受け手のいない空き家」になる恐れが強いといえそうだ。

 23年12月施行の「改正空き家対策特別措置法」により、放置した空き家が自治体から「特定空き家」か、その予備軍の「管理不全空き家」として勧告を受けると住宅向けの減免措置が受けられなくなり、現状の6倍の固定資産税を課される恐れがある。【和田憲二】

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