■“バスが来ないバス停”設置なぜ?

 バス停の時刻表にはしっかり数字が。「豊鉄バス」その表示の通り、本物です。ただし、バスは来ません。「バスの来ないバス停」、実は意外な目的がありました。

 愛知県豊橋市の高齢者施設に設置されたのは、バスの来ないバス停です。ただ、バスが来ないといっても…。

豊鉄バス 赤川景子さん
「本物です、はい。入所している人も見慣れたバス停であるということが非常に大きい」

 「バスの来ないバス停」、改めて話を聞くと、発祥はドイツの養護施設。

赤川景子さん
「ドイツで『バスの来ないバス停』という取り組みがなされていて」

 認知症の入所者が、もはや存在しない自宅や家族の元に帰ろうして行方不明になる。そうした事例を見てきた施設の職員が、公共交通機関を利用しようとする彼らの行動原理に気付き、施設のすぐそばにバス停を建てたのが始まりだそうです。

赤川景子さん
「帰宅願望が強くなった時にバス停があることで、ここで待って少し話をしている間に落ち着いて、ホームに戻っていくと。介護者にとっても、負担が少なく対応できるのかなと」

■時刻表も本物だけど“優しいウソ”

 「優しいウソ」。この取り組みは、そんな言葉で表現されています。

 入所者の意思を尊重しながら、安全も守る。

 実際に導入した施設には…。

グループホーム白珠 島本晴子さん
「(入所者が)『バスで帰れるかね』って外へ行っておしゃべりして、そこで違う話になって帰宅っていうのを忘れちゃう」

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