京都府の財政は今のままだと、4年後には当初予算で200億円も足りなくなる――。府が作成した「行財政運営方針」で、こんな状況が示された。府の予算は既に2023年度当初で約160億円、24年度当初で約155億円の財源が不足し、いずれも「借金」をして賄った。運営方針では、25~27年度当初の予想不足額は示されていないが、28年度当初では今より約45億円増えると見込まれている。【久保聡】
府の試算によると、社会保障関係費などの支出が想定以上に増えるためという。そもそも、府は貯金にあたる「財政調整基金」が約2000万円と極端に少ない。数百億円以上ある自治体も多いが、「(剰余金を)ため込むのではなく、府民に還元しているから」(府財政課)としている。そのため、23、24年度の不足も特例的な「行政改革推進債(行革債)」という借金で全額を賄った。
一方で、府の借金総額である府債残高は24年度末で、一般会計予算額の2倍以上となる2兆3739億円に上る見込み。借金の返済もかさみ、24年度一般会計当初予算では「公債費」(借金の返済金)が1158億円にも膨らみ、歳出全体の1割強を占めている。
約200億円の収支不足が見込まれる中、府は「羅針盤」と位置づける総合計画を踏まえた「あたたかい京都づくり」の実現に向け、約100億円の財源が別に必要としている。新たな施設やインフラの整備費などで、収支不足の額はさらに膨らむ可能性もある。
行財政運営方針では、府立施設の使用料や各種手数料の見直し、府税徴収率の向上、ふるさと納税の活用、企業誘致や移住促進などで歳入を増加させるとする。また、施策の再構築も進めるなどし、「一層の効果的、効率的な府政運営を進めることで、収支不足の改善を目指す」としている。
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