婚姻中の父母に認められている共同親権を離婚後も可能とする民法改正案が12日、衆院法務委員会で賛成多数により可決された。離婚した父母の一方が親権を持つ単独親権のみを規定した現行民法が見直されることになり、離婚後の家族法制は大きく変わる。改正案は週明けにも衆院を通過する見通し。
改正案は、父母が離婚時に協議して共同親権か単独親権かを選び、折り合わなければ、家裁が「子の利益」の観点から親権者を判断するとした。一方の親による家庭内暴力(DV)や虐待の恐れがあると認められれば、必ず父母のいずれかの単独親権となる。
離婚後の共同親権の導入を巡っては、離婚前のDVや虐待が継続しかねないとの懸念が示されており、衆院法務委では、家裁が適切に親権者を判断できるのかどうかが主な争点となった。
密室である家庭内の事情を家裁が把握できるかについて、政府側は、過去にDVや虐待があったことを裏付ける客観的な証拠がないケースでも「さまざまな状況を考慮する」とし、共同親権の行使が困難と認められる父母については単独親権となると答弁した。
単独親権となるDVには、身体的DVに加え、怒鳴りつけたり、生活費を渡さなかったりして相手を追い込む精神的・経済的DVも含まれるとした。一方で、父母が感情的に対立していることのみを理由として一律に単独親権とされることはないとも述べた。
家族間の争いが増えることが見込まれることから、衆院法務委では家裁の体制強化も議論された。最高裁は、弁護士から任命し、裁判官と同等の権限を持って家事調停に当たる「家事調停官」の増加を検討すると明らかにした。【三上健太郎】
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