公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 公正取引委員会は18日、AI(人工知能)やアルゴリズム(計算方法)の普及に伴い、意図せずカルテルなどの独占禁止法違反事件に巻き込まれるリスクが高まっているなどとして、東証プライム上場企業全1643社を対象に実態調査を始めると発表した。10~11月にウェブアンケートを実施する。

 公取委によると、AIやアルゴリズムを活用した商品価格の調査・設定が近年は活発化。機械学習による需要予測なども駆使して、価格設定を自動化する企業が増えつつある。ただし、複数の企業が同じAIやアルゴリズムを使って機械的に価格を設定すると、旧来のカルテルのように合意を取る必要がなくなる。こういった違反や、アルゴリズムのベンダー(販売業者)がカルテルを主導したり促進したりするケースもあり、欧米で問題化している。

 こうした状況を踏まえ公取委は、企業に対し、カルテルと同じAIやアルゴリズムを使うことで、意図せず事件に巻き込まれるリスクがあることを認識しているか、そうしたリスクに対して具体的な対策を考えているかなどを尋ねる方針だ。また、企業として談合追放を掲げているにもかかわらず、一部の社員が独断で不正に手を染めた場合の対処方法など、コンプライアンス全般についても調査する。

 公取委の藤本哲也事務総長は18日の記者会見で、「カルテルへの不用意な関与への企業の対応を調べる。同時に独占禁止法に関する監査で、どのようにアルゴリズムを活用しているかについても聞いてみたい」と述べた。【渡辺暢】

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