詐欺罪で起訴された後に無罪が確定した、名古屋市の元コンサルティング会社社長の男性(61)が18日、検察官が不利な証拠を隠して有罪主張したとして、国に約550万円の損害賠償を求め名古屋地裁に提訴したと明らかにした。提訴は9月5日付。
男性は偽の債権を担保に3000万円の融資をだまし取ったとして2019年11月に起訴された。21年8月、1審・名古屋地裁は有罪判決を言い渡したが、2審・名古屋高裁は、有罪とは矛盾する被害者とされた人物と弁護士のLINE(ライン)の履歴を担当検察官が入手していたにもかかわらず隠していたと認定。審理を地裁に差し戻し、地裁は23年10月に無罪を言い渡し、確定した。
18日に名古屋市内で記者会見した男性は「検察官は自分たちが作ったストーリーに沿う証拠や証言で(有罪立証を)構成して、思った通りの判決に導こうとする。後戻りできない体質を是正していかないといけない」と主張した。
男性は担当検察官を虚偽公文書作成・同行使などの容疑で告訴したが、名古屋地検は不起訴とした。8月に検察審査会に不服審査を申し立てた男性は「2度とこのようなことが起きないように、できる限りのことをしていきたい」と語った。
名古屋地検の堂免雅樹次席検事は「訴訟が提起されたことについては承知しておらず、コメントは差し控える」としている。【道下寛子】
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