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9月は防災月間です。先月は南海トラフ地震が来るかもしれない、と臨時情報が出されて大きなニュースになりました。一体南海トラフ地震とはどんな地震なのか、基礎の基礎から解説してまいります。

■今年の地震は例年より多い?少ない?

今年は1月に能登半島で大きな地震がありました。それ以降も4月の豊後水道、8月の日向灘、神奈川県西部と大きな地震がいくつもありました。

では今年は地震の発生件数は多いのか?というと実はそうではありません。能登半島地震に関連して揺れたものを除けば、実はほぼ平年通りなんです。とはいっても地震大国の日本、震度1以上の地震が年間約2000回発生していますから、そもそもが多いと言えますね。

そして世界で起きているM6以上の地震の1〜2割は日本の周辺で発生しています。
まさに日本は地震大国なんです。

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■そもそも南海トラフとは?

■そもそも南海トラフとは?

今回南海トラフ・巨大地震注意の臨時情報がでて驚いた方も多いかと思います。ではそもそも「南海トラフ」、とは何かご存知でしょうか?

南海トラフとは、駿河湾から日向灘にかけてのびている「海底のくぼみ」のことなんです。
でも日本海溝など「海溝」という言葉もありますよね?くぼみの中でも水深が6000メートル以上のものを海溝、それより浅いものをトラフと呼んでいます。
日本の周りには南海トラフ以外にも相模トラフ、駿河トラフなどがあります。

そして厄介なのがこのトラフや海溝が「プレート」の境目だということです。
プレートとは地球の表面を覆っている大きな岩盤のこと。牛乳を鍋で温めると表面に幕が張りますよね?それと同じようなものです。熱せられたマントルの表面が冷えて幕のようになっている、それがプレートです。そして大きな地震のほとんどはこのプレートの境目で起きています。

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■南海トラフ地震はどんな地震?

■南海トラフ地震はどんな地震?

南海トラフ地震という呼ばれ方が一般的になったのは実は最近のことです。皆さんの中には「いずれやってくる大地震と言えば東海地震だった」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は南海トラフ地震にこの東海地震も含まれているんです。そもそも南海トラフ地震の震源域はもともとは4つに分けられていました。

しかし東日本大震災では想定外に複数の震源域でプレートが動いたため、思いもかけず大きな被害を引き起こしました。そこで東海地震、東南海地震、など震源域で分けて考えるのではなく、同時に動くかもしれない、もっと大きく南海トラフ地震と幅広く考えよう、と「想定外」に備えることになったのです。

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■南海トラフ地震「臨時情報」って何?

■南海トラフ地震「臨時情報」って何?

では先日発表されて大きなニュースとなった、「臨時情報」とは一体なんでしょうか。
これは2019年5月から運用が開始されたもので、今回初めて適用されました。
その発表にはこんなルールがあります。

南海トラフ沿いでM6.8以上の地震や地殻変動が観測された場合、専門家による評価検討会が臨時会合が開かれ、必要だ、となれば発表されます。今回の日向灘の地震は基準を超えるM7.1だったので、「巨大地震注意」となったというわけです。

でも臨時情報は1週間で解除されました。その後は本当に大丈夫なの?と不安に思われた方もいたのではないでしょうか。この1週間というのも意味があるんです。実は過去の巨大地震の動向を調べると、大きな地震が発生してから1週間以内は連続して大きな地震が起きる可能性が大きくなることがわかったんです。そしてもう一つ、1週間で解除、とした理由があります。あまりに長期間地震を警戒した生活を続けると、イベントの中止、新幹線の徐行、など経済的にも負担が大きくなってしまいますよね。それでとりあえず期間を区切るなら1週間、となったわけです。

でもいざ臨時情報が出た時、どのくらいの確率で地震は起きるのか、気になりますよね。もともと南海トラフ地震の発生確率は1週間で約0.1%です。「巨大地震注意」の場合はその数倍程度、確率で言うと約0.4%ほど、「巨大地震警戒」の場合は普段の100倍程度、約10%となります。逆にいえば「警戒」が出ても9割の確率で地震は来ない、というわけです。でもいつもより地震の可能性が高いのは事実です。その間にしっかりと備えましょう、というわけです。

大きな地震に臨時情報、と改めて地震の恐ろしさを実感した方も多かったと思います。でも日本は地震大国だからこそ膨大なデータもそろっています。自治体もたくさんの情報を発信しています。皆さんが住んでいる地域はどうなのか、何を備えればいいのかこの機会に是非確認をしてみてください。

(池上彰のニュースそうだったのか!! 9月7日OAより) 

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