神戸市の「甲南医療センター」の専攻医(旧後期研修医)だった高島晨伍(しんご)さん=当時(26)=が鬱病を発症し自殺したのは長時間労働が原因だとして、遺族が病院を運営する「甲南会」と具英成(ぐえいせい)院長を相手取り、計約2億3千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が22日、大阪地裁(林潤裁判長)であった。病院側は過重労働を否定し、請求棄却を求めた。業務と自主的な「自己研鑽(けんさん)」との線引きが争点となる。
この問題では、すでに西宮労働基準監督署が労災認定。直前1カ月間の時間外労働は約208時間としていたが、病院側は「研修に投じた時間が含まれ、在院時間の全てを労働時間と評価してはならない」と反論。「業務は専攻医として標準的で、過重労働の原因となるような事実は一切存在しない」と主張した。
これに対し、遺族側は、令和4年5月に死亡するまで100日連続で勤務し、直前1カ月間の時間外労働は236時間に及ぶとして「常軌を逸した極度の長時間労働と、労働時間管理の異常さは明らか」と注意義務違反を訴えている。
この日は、母親の淳子さん(61)が法廷で意見陳述し、「晨伍が身を賭して投げかけた医師の労働環境改善のために、この裁判が確固たるマイルストーン(節目)となることを切に願います」などと訴えた。
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