保釈され、鹿児島中央署を出る鹿児島県警前生活安全部長の本田尚志被告(右)=鹿児島市で2024年6月21日午後6時17分、吉田航太撮影
写真一覧

 鹿児島県警の内部文書を漏えいしたとして国家公務員法(守秘義務)違反で起訴された県警の前生活安全部長、本田尚志(たかし)被告(60)について、鹿児島地裁は21日、保釈を認める決定を出した。

 本田被告は21日午後6時15分すぎ、県警鹿児島中央署の正面玄関から上下黒のスーツに身を包み、マスク姿で現れた。目を伏せうつむきがちに真っすぐ歩き、報道陣に対して10秒以上深く頭を下げ、無言のまま弁護士の迎えの車に乗り込んだ。

 起訴状などによると、本田被告は県警退職後の3月28日ごろ、在任中に部長名で作成された文書のうち、霧島署員によるストーカー事件の捜査経過や被害女性の氏名などが記載された書面の写しを鹿児島市内から北海道在住のフリー記者に郵送し、4月3日ごろに受領させたとしている。

 県警や関係者によると、内部文書は複数枚で、他には枕崎署員が逮捕されたトイレ盗撮事件に関する資料なども含まれていた。

 地検は認否を明らかにしていないが、本田被告は逮捕後の6月5日に鹿児島簡裁で開かれた勾留理由開示手続きの中で内部文書の送付を認め、「野川明輝(あきてる)本部長が(不祥事を)隠蔽(いんぺい)しようとしたことが許せなかった」と主張。弁護人も「内部通報」の趣旨だと訴えている。

 一方、野川本部長は21日の記者会見で「私が隠蔽した事実はない」と改めて否定した。【河慧琳】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。