新庄博志さんの自宅前=大津市仰木の里東で2024年5月27日午前10時、菊池真由撮影 ※画像の一部を加工しています
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 大津市の民家で5月、レストラン経営で保護司の新庄博志さん(60)の遺体が見つかった事件があり、新庄さんの殺害に関わった疑いが強まったとして、滋賀県警は8日にも、無職の男性(35)を殺人の疑いで逮捕する方針を固めた。捜査関係者への取材で判明した。男性は事件後、銃刀法違反容疑で現行犯逮捕されていた。

 男性は過去の強盗事件で保護観察付き執行猶予判決を受け、新庄さんが担当の保護司だったことも明らかになった。これまでに2人の間でトラブルは確認されていないが、県警は動機や経緯を本格的に調べる。

 保護司が自ら受け持つ保護観察中の人物に殺害されたとする事件は初めてとみられ、保護司の安全対策など制度の議論に波及する可能性がある。

 捜査関係者によると、男性は5月24日夜、大津市仰木の里東6の新庄さん宅で、新庄さんを刃物のようなもので傷付けるなどし、殺害した疑いが持たれている。遺体の上半身に10カ所以上の傷が確認され、身を守る際にできる防御創もあった。凶器は見つかっていないという。

 この4日後の28日夜、男性は新庄さんの自宅近辺でパトロールしていた警察官の職務質問を受けた。リュックサックの中にナイフを隠し持っていたため、銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕された。男性は新庄さん宅近くに住んでおり、「山歩きのためだった」と説明したという。

 県警が男性について詳しく調べた結果、2018年10月に自宅近くのコンビニで現金2万円を奪ったとする強盗容疑で逮捕されていたことが判明した。翌19年6月に大津地裁で懲役3年、保護観察付き執行猶予5年の有罪判決を言い渡され、1審で確定。その後、新庄さんが保護司として更生支援を担当していたことも明らかになった。

 男性の執行猶予期間は7月で満了する予定だった。保護観察中の男性は定期的に新庄さん宅を訪れて近況を報告したり、生活指導を受けたりしていたとされ、県警は新庄さんが死亡した頃の詳しい経緯を調べている。

 新庄さんは06年から保護司として活動し、県更生保護事業協会の事務局長を務めてきた。一方で、大津市内のレストランや飲食店を経営。大津商工会議所や大津ロータリークラブに所属し、地域の活性化に尽力した。【菊池真由、飯塚りりん】

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