政府の規制改革推進会議は31日、一般ドライバーが自家用車を使って有料で客を運ぶ「日本版ライドシェア」を巡り、タクシー事業者以外の参入を認める全面解禁に必要な法整備に向けた論点をまとめた。結論の時期は区切らず法整備の議論を進めるが、委員からは「来年の通常国会への法案提出も視野に入れるべきだ」との意見も出された。
タクシー事業者に運営主体を限定した日本版ライドシェアは4月に東京23区や京都などの一部地域で始まり、岸田文雄首相が5月中に全面解禁に向けた論点を整理するよう関係閣僚に指示。6月までに方向性を示す方針だったが、与党内でも慎重論が根強く、河野太郎行政改革担当相、斉藤鉄夫国土交通相が30日、岸田氏と会談し、期限を設けず議論することを決めた。
31日の論点整理では、法整備に当たり、運営主体の拡大や事故時の乗客への責任体制、就業条件、性犯罪対策などを詰める必要性に言及。異業種参入に必要な法制度については、年内に結論を出すべきだとする委員の意見書が議決された。
会議で、河野氏は「少なくとも年内はモニタリング、検証をしっかり継続する。必要があるならば次のステップに移行を考える」と述べ、来年の通常国会への法案提出に含みを持たせた。岸田氏は「ライドシェアを全国で広く利用できるようにする必要がある。できるだけ早期にその時点での検証結果の評価を行ってください」と求めた。
会議では、年金受取口座の変更などの社会保険手続きや死亡・相続手続き、要介護認定などでデジタル化を進めることなどを盛り込んだ規制改革推進に関する答申もまとめた。【古屋敷尚子、原田啓之、佐久間一輝】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。