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ギリシャ滞在5日目。30日午前、佳子さまはケルキラ島のアジア美術館を訪れ、記念行事で挨拶し、その後、展示されている日本の作品などをご覧になる予定になっていた。 この記事の写真は53枚

午前5時ごろ、ホテルの部屋のカーテンを開けると、目の前いっぱいに広がるイオニア海と空が朝の光に染まり始めていた。私は朝食前に海岸沿いを歩いてみた。歩きながら考えていたのは「佳子さまと報道陣との“旅”」がいつまで続くのかということだった。

(アテネ=テレビ朝日社会部・遠藤行泰)

◆心を込めて国際親善の準備をされ

前日に佳子さまが視察された旧市街方面へと海岸沿いを走った。走りながら「佳子さまとの旅」のことを振り返った。
佳子さまのギリシャ訪問について知ったのは4月上旬だった。外国への旅程としてはペルー訪問から約7か月後となる。

ペルー訪問時の佳子さま

ペルー訪問では首都リマのろう学校を訪問し、1か月半にわたって予習したペルー手話で児童生徒を前に挨拶された。佳子さまはペルー手話で「皆さんにお会いできてとても嬉しいです。ここに来ることが出来て本当に幸せです」と話をされた。その時、そこに響いていたのはスチールカメラマンがシャッターを切る音だけだった。皇室の慈愛は静けさの中にあると感じた。

部屋に入る佳子さま(ろうあ者支援施設)

今回も、ろうあ者支援施設でギリシャ手話を披露された。手話に限らない。「こんにちは」「本当にありがとうございます」ギリシャ語の挨拶も欠かされることがなかった。
「佳子さまは心を込めて準備をされている」と側近が話していたのは、歴史や文化の専門家による御進講に加え、ご本人のそうした努力だった。

記者(筆者)の声掛けに答えられる佳子さま

今回の「佳子さまとの旅」は残り2日あまりだが、私はいつかまた佳子さまと一緒にどこかの外国を訪問することができるのだろうか…。かつて要塞があったという岬の横から朝日が顔を出した。

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◆訪問2度目の挨拶で紀子さまとの思い出を

◆訪問2度目の挨拶で紀子さまとの思い出を

この日も私たちは1時間前にアジア美術館に到着し、佳子さまの動線を確認した。19世紀に建設された宮殿を活用したもので石の回廊が美しく内装も実に豪華だった。佳子さまは、27日の式典に比べたら小さな一室で、外交関係樹立125周年と文化観光年を記念する行事に出席し挨拶される予定だった。

会場に入られた佳子さま

佳子さまが着ていたのは、青でも白でもなく、杏色のような、サーモンピンクのような洋服だった。この時の挨拶にも佳子さまらしい一節があった。「私も母から、母が子どもの頃に家族でギリシャを旅行した時の写真をみせてもらい、楽しかった思い出話をきいたことがあります」
このエピソードは今回の訪問の直前のことではないようで、もしかしたらその時は、姉の眞子さんも一緒だったのかなと想像した。

紀子さまとのエピソードを話される佳子さま

◆皇室の美術鑑賞

説明役の担当者の話に笑みがこぼれる佳子さま

佳子さまは、行事の後、美術館に展示されている江戸時代の浮世絵師、写楽が18世紀に描いた肉筆画を鑑賞された。佳子さまは「すごく大切に保存して下さっているものを見ることができて、とてもうれしく思います」などと感想を述べられた。

作品の前に長時間立ち、じっくりと鑑賞する。佳子さまばかりでなく、天皇ご一家も同じように展覧会を楽しまれる。去年9月には、佳子さまが総裁を務める「日本工芸会」の展覧会に、天皇皇后両陛下と愛子さまが足を運ばれ、佳子さまが案内されるという大変貴重な機会を取材した。まるで姉妹のような佳子さまと愛子さまのお二人を、またいつか見たいと思った。

天皇ご一家を案内される佳子さま

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◆「私も緊張しています」

◆「私も緊張しています」

午後、佳子さま一行と同じ飛行機で、ケルキラ島からアテネへと戻った。夕方、佳子さまは最後の公式日程に臨まれた。国費で日本に留学していたギリシャ人との面会だ。

ここでも佳子さまらしい優しさを見た。一人の女性が、佳子さまを前にして、緊張のあまり、留学で学んだ日本語を途中から話せなくなってしまったのだ。その時、佳子さまは少し離れていた通訳を呼び「私も公務で緊張しています」と言って、その場を和ませた。別の男性は「日本は『自分の家』のようでした」と語り、佳子さまは「とてもうれしく思います。ぜひまた『家』にいらして下さい」と応じられた。

「ものすごく緊張…」と言葉に詰まる元留学生 「私も緊張しています」と場を和ませる

◆ギリシャの旅は終わっても

リポート撮影時の記者

その後、私たちテレビ記者は、今回のギリシャ訪問の「まとめリポート」を撮影するため、佳子さまと同宿しているホテルの最上階のテラスに向かった。夕景に、最初に取材したパルテノン神殿が小さく浮かぶ。そして、アテネ最後の夜、ギリシャの伝統料理で、ひき肉やナス、ジャガイモを使ったラザニアのような「ムサカ」や、イカのフライ「カラマリ」などを味わった。

「今度はいつ佳子さまと一緒に外国に行けるかなぁ」とある記者が言った。「行けるかなぁ」と誰かが重ねた。女性皇族は結婚したら皇室を離れる…ということが誰もの頭の中にあった。そんなちょっとセンチメンタルな空気を変えたくて私は言った。「それにしても、どうして佳子さまの外国同行はこんなにも心弾むのだろう?」それは、佳子さまの明るさではないか、優しさではないか、佳子さまと接した人々の笑顔ではないか…話はいつまでも止まらなかった。

滞在先のホテルを出発 帰国の途に

ギリシャの旅は終わるが佳子さまの取材は終わらない。「佳子さまとの旅」は続くのだ。

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