著名人やその関係者になりすまして投資などを勧誘する詐欺広告がSNS(ネット交流サービス)に出回っている問題で、国民生活センターは29日、2023年度の相談件数が22年度の約9・6倍に急増したと明らかにした。同センターは「お金を取り戻すことが難しく、安易に資金を振り込むことはやめてほしい」と初めて注意を呼び掛けた。
国民生活センターと全国の消費生活センターなどに23年度に寄せられた著名人をかたる金融商品・サービスに関する消費者トラブルの相談件数は1629件で、22年度の170件から急増した。21年4月~24年4月末の集計によると、支払ってしまった金額と、返金にかかる費用として請求された金額を合わせた平均額は約644万円に上った。
60代からの被害相談が全体の3割以上を占め、1億7000万円を支払ってしまった60代女性からの相談も寄せられたという。
代表的な相談事例は、有名投資家などが投資情報を発信するとうたうSNSの広告に登録すると、投資家の関係者をかたる人物などから「投資」として資金を指定の口座に振り込むようメッセージが届くものだった。その後、関係者と連絡が取れなくなることで被害が発覚する。
センターは、「投資」として振り込むために比較的大きな金額被害になりやすく、SNSの各運営事業者の広告審査も十分に機能していないと指摘。その上で「指定される口座が個人名義の場合はまず詐欺が疑われる。著名人の画像などが出ていても安易に信じず、公式サイトなどで確認をしてほしい」としている。【露木陽介】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。