恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」の被害金回収をうたい、広告会社役員らに弁護士名義を貸して法律事務をさせたとして、大阪地検特捜部は29日、大阪弁護士会所属の弁護士、川口正輝容疑者(38)=大阪市=と広告会社役員ら計5人を弁護士法違反の疑いで逮捕した。
ロマンス詐欺を巡っては、被害回復を宣伝する弁護士が任務を果たさないケースがあるとされ、「2次被害」が問題となっている。
ロマンス詐欺はネット交流サービス(SNS)でのやりとりが大半で加害者側の特定が難しく、被害金の回収も容易ではない。川口正輝容疑者は大阪弁護士会の調査に対し、約1800人からの相談のうち、被害金を回収したのは10人程度と説明している。
川口容疑者に関し、弁護士会には4月末までで「被害金を回収できていない。着手金を返してほしい」などの苦情や相談が延べ381件寄せられたという。
非弁提携に詳しい東京弁護士会の小早川真行弁護士は「確実に被害回復が見込めるといった誇大広告による宣伝が目立つ。さらに業務を無資格者に丸投げするケースもあり、問題が積み重なっている」と話す。同会所属の弁護士も2023年、非弁提携の疑いで大阪府警に逮捕されている。
「弁護士と手を組もうと、広告業者による営業活動が盛んになっている」と指摘するのは消費者問題に詳しい国府泰道弁護士だ。被害者らに対しては「ネット広告をうのみにせず、弁護士会などの信頼できる団体に相談してほしい」と呼びかけている。【高良駿輔】
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