国内の民間空港で、米軍機の着陸が盛んになっている。国土交通省のまとめでは、2023年中の利用がこの10年で最多となったことが明らかになった。特に、熊本県や鹿児島県の空港で利用が集中。その周辺からは、事故を懸念する声が聞かれる。
熊本空港への着陸経路に近い、熊本県菊陽町の道明地区。裏手の山の上をかすめるように飛行機が飛ぶのが日常だ。60代の主婦は「音には慣れっこだが、訓練中に落ちたらと思うと心配だ。利用を減らしてほしいが、アメリカと日本政府が決めるのは沖縄と同じ。私が反対しても変わらんでしょう」と漏らした。
熊本空港への米軍機の着陸は23年69回、22年56回。2年連続で全国で2番目に多く、訓練の整備などの拠点の傾向がうかがえる
市民団体「熊本県平和委員会」事務局長の坂本浩一さん(66)は23年10月の日米共同訓練で米軍オスプレイが熊本空港を使う様子を目撃した。「熊本空港に限らず九州で軍事訓練の強化が進んでいる。空港を拠点にオスプレイのような危険な機体も熊本上空を飛んでおり、事故を非常に危惧している」と訴えた。
一方、鹿児島県の屋久島、奄美、種子島、徳之島の4空港には全国の約44%にあたる201回の着陸が集中していた。
同県内では近年、米軍機の可能性がある低空飛行の目撃情報が相次いでおり、県のまとめでは23年度は鹿児島市や奄美市などで計176件に上る。こうした中、屋久島沖では23年11月に米軍オスプレイの墜落事故が発生した。
住民らでつくる「奄美の自然と平和を守る郡民会議」(奄美市)の事務局長の城村典文さん(71)は「奄美市の市街地の上空も飛んでおり、次の事故が街中で起きてもおかしくない」と話す。6月には市内で集会を開きオスプレイの低空飛行禁止を求める考えだ。【中村敦茂】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。