ニチアス羽島工場(岐阜県羽島市)が排出したアスベスト(石綿)が原因で中皮腫になり死亡したとして、近くの作業所で働いていた男性の遺族が15日、ニチアスを相手取り、約3300万円の損害賠償を求める「責任裁定」を公害等調整委員会に申請した。代理人弁護士によると、「石綿工場の近くで働いていた」との理由で遺族が損害賠償請求するのは全国で初めて。
責任裁定申請書によると、男性は1966年から約13年間、ニチアス羽島工場から320メートル離れた作業所で織物デザインなどに従事。2018年に中皮腫と診断され、20年に79歳で死亡した。
男性の長男(50)がニチアスに弔慰金の支払いを求めたが、「工場近隣に住んでおらず対象外」として支払いを拒否されたという。
代理人弁護士は15日の記者会見で「男性が中皮腫になったのはニチアスの石綿が原因なのは明らか」と主張。ニチアスの広報担当者は「書類を受領していないためコメントは差し控える」とコメントした。【太田圭介】
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