山間部と平野部の間のエリアは「中山間地域」と呼ばれ、国土の7割を占めています。過疎化、高齢化で農地の荒廃が課題となっているなか、中山間地域である美浜町新庄区では”山菜ビジネス”で地域を活性化しようと、取り組みを始めています。
  
美浜町の南に位置する新庄地区は、山林と山間部、その周辺を指す「中山間地域」で占められ、過疎化が進んでいます。
 
4月中旬、新庄地区の小学校跡地を活用した公民館に、町内外から大勢の人たちがやってきました。お目当ては、地区で採れた山菜です。”山菜の新庄”をアピールしようと、地区で栽培した山菜や自生している山菜を収穫し、天ぷらにして販売する催しが初めて開かれました。

新庄ビレッジ振興社・松下照幸さん:
「山菜事業のPRのための初めての挑戦で、沢山来てくれて手応えあった」
 
新庄地区の住民:
「昔は自然に生えていた。なんぼでも、沢山あった」

豊富に生えていた山菜は、耕作放棄地の拡大により、山に人が入らなくなったことや、獣害によって減ってきています。
  
住民は、中山間地ならではの特産「山菜」に着目し、地域おこしをしようと、山菜を栽培、出荷、販売する「山菜ビジネス」を有志で立ち上げました。

新庄地区の住民:
「かつてはスギも植えたが、スギも育たない湿地」
  
そこで、国の支援を受け、2023年から耕作放棄地などを整備して山菜栽培を始めました。4月以降、タラ、コシアブラ、サンショウ、コゴミに加え、増えるのが早いワラビも植えました。冬を越した苗は定着していて、徐々に増やして一面を山菜畑にする計画です。
 
一方、集落に近い別の畑では、タラの芽が収穫の時期を迎えていました。畑に集約して山菜を栽培することで、山歩きをして収穫する負担を極力減らし、効率的な生産を目指します。 
  
新庄ビレッジ振興社・松下照幸さん:
「(山に採りに行くよりも)場所が近い。近場で誰でも取れるように」

人口減少や高齢化が課題の地域で、当面、山菜ビジネスの担い手として注目するのは、住民の半数を占める65歳以上の高齢者や女性の活躍です。2026年までに約1万平方メートルあまりの耕作放棄地を整備する計画です。
 
県によりますと、県内では勝山市と小浜市の2カ所で山菜を栽培していますが、これだけ大きな規模は初めてだということです。
 
新庄ビレッジ振興社・松下照幸さん:
「(軌道に乗るまでに)数年はかかる。都市部に営業をするとか、加工品を作って旬をずらすとかを計画している」
  
すでに整備した畑については近々栽培農家を公募し、今後整備する農地に関しては、拠点(山菜栽培センター)を設けて運営する計画で、2026年までの生産体制の確立を目指します。
 
新庄区長・鳥羽学さん:
「最終的には人を育てる。生産し、真剣に楽しむ人をする人を発掘して育てる事がこれからの課題じゃないかなと思う」

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