容器を持参して商品を“量り売り”してもらえる店、『バルクショップ』。必要なものを必要なときに必要な分だけ買えるお店が全国で増えています。
山陰にも広がる“量り売り”の店を取材しました。
江津市都野津町。昔ながらの家々が並ぶノスタルジックな雰囲気の町にあるのが「量り売りSalema(サレマ)」。
食料品や日用品などの商品を必要なだけの量を量り売りするバルクショップです。
坂西美香アナウンサー
「外観から趣があります」
迎えてくれたのは、オーナーの今崎希さんです。Salemaは4年前、2020年にオープン。築約150年の古民家を改装した趣のある店内には、地元や近県で有機栽培された野菜に、くるみやカシューナッツ、さらにドライフルーツ、スパイスまで約60種の食材。すべて必要な量を量り売りしています。
Salema今崎希さん
「(容器は)一応持参していただくのが基本なんですが、紙袋だったりとか包むものを用意していたり、リユースの瓶は自由に使っていただり」
容器持参が原則ですが、再利用可能な容器や簡易な包装用の資材も用意されています。そして必要な分だけ容器に入れていきます。
欲しい商品を欲しい分だけ容器に入れたら、重さを量って…会計です。
カシューナッツやドライフルーツなど、1人から2人分のおやつ1回分くらいの分量で729円でした。
坂西美香アナウンサー
「食べる量だったり、買う量だったり、自分で考えながらできるというのが楽しいですね」
Salema今崎希さん
「あとは何円分くらい自分でほしいと決めてこられて、そのグラムだけ買うということもできますね」
今崎さんがバルクショップを始めたきっかけは、海外生活での経験でした。
10年ほど前、24歳の時に約1年間、就業体験のためハワイに移住、そこで多くのスーパーに量り売りコーナーがあったのに気づきました。
Salema今崎希さん
「日本に比べたらバナナも何本からかちぎって買ってもいい感じですし、常温のものは自分で容器を持っていったらレジで重さを計って買うことができた」
帰国後、結婚、出産を経て通販での購入が増え、「段ボールなど梱包材が気になった」という今崎さん。『ほしいものを気軽に買えて、ごみがでない買い物の仕組みを…』と考え、ハワイで経験した量り売りの店を自ら始めることを決断しました。
この日も、常連のお客さんが店を訪れました。
何度か訪れたことがあるという6歳の男の子、大好きなドライフルーツを慣れた手つきで詰めていきます。
お客さん
「規定量が入ったものだったら余ってしまうことがすごく多くてもったいないんですけど、それを必要な量だけ買わせてもらえるというのが助かっている」
こうしたバルクショップは山陰では出雲市にあるほか、鳥取県内のディスカウントストアでも菓子や調味料などの販売に量り売りを取り入れているところがあります。
株式会社斗々屋 広報・ノイハウス萌菜さん
「食べるもの、買うものに新しい軸でものを選ぶようになったという人が多く、自分の周りに量り売りのお店がないからスタートしたいとかが増えた」
こう話すのは、京都や東京で日本初のゼロ・ウェイストを(無駄・ごみ・浪費をなくす)めざして量り売りを取り入れたスーパーの運営などを手掛ける「斗々屋」の広報担当ノイハウスさん。コロナ禍の「巣ごもり生活」でネット通販の普及が、逆にバルクショップが広がるきっかけになったと指摘します。
株式会社斗々屋広報・ノイハウス萌菜さん
「(購入側は)便利に買えることで分別してごみの日に出す。そんな手間も減ってきたりとか、生産者側はパッケージを買わなくていい、提供しなくていいということでコストの削減につながったりとか、経済面でも理にかなっているので、ゼロウエストというのはこれからも必要な要素になってくるかなと思います」
“ごみを減らしながら買い物する”新たなライフスタイルとして、昔ながらの「量り売り」スタイルは今後さらに広がるかもしれません。
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