現代用語の基礎知識選「2024ユーキャン新語・流行語大賞」が発表され、今年の年間大賞には金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」の「ふてほど」が選ばれました。
トップテンは以下の通りです。(50音順)
※『「現代用語の基礎知識」選 2024ユーキャン新語・流行語大賞トップテン 受賞者紹介と解説』より一部抜粋
「おっはー」「チョー気持ちいい」…振り返るこれまでの流行語
■裏金問題
安倍派の政治資金パーティー(2022年) この記事の写真は9枚▼受賞者 神戸学院大学法学部教授 上脇博之さん
2023年末。自民党派閥政治資金パーティー問題がマスコミに報じられて以来、
今年も日本政治は裏金一色。安倍派から非安倍派への疑似政権交代が行われたものの国民の怒りは収まらない。
10月に行われた衆議院選挙では「裏金議員」の6割が落選となり、与野党過半数割れの結果となった。
一方野党は大幅増・躍進で沸いたものの、さて。裏金問題はほったらかしの状態だ。
「上の意向に逆らえずに受け取った」って闇バイトじゃあるまいし。ノルマにキックバック、所得税納付はいったいどうなっているのでしょうか?そもそもなぜ裏金がそんなにもたくさん必要なのでしょうか?
経緯も責任も明らかにされないまま「選挙で洗礼を受けた」で逃げていては国民の指示は得られまい。
裏金問題はまだまだ終わっていないのだ。
■界隈
▼受賞者 毎日新聞デジタル報道グループさん
同じものが好きな人同士でつながって楽しむような意味合いで、「界隈」が使われ始めた。
もともとは地理的な範囲で「その辺り一帯」を意味することばだったのだが、新しい展開の流行語である。
「自然界隈」であれば山や川など自然のある場所を好む人たち、「水色界隈」であれば水色のファッションを好む人たち、といったぐあいである。
そこからSNSでは「回転界隈」が話題になった。これは楽曲にあわせて、最初は正面を向いている人がその場で90度ずつ回転して、コーディネートの全体像を披露する動画。
こういった発展も含めて、若者もおとなも、「〇〇界隈」を面白がっている姿がみられた。
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■初老ジャパン■初老ジャパン
▼受賞者 パリオリンピック総合馬術日本代表チームさん
2024年夏季オリンピック・パリ大会。総合馬術団体で銅メダルを獲得した。馬術でのメダル獲得は92年ぶり。
平均年齢41・5歳の精鋭、愛称「初老ジャパン」。この愛称は自らの命名だそう。
表彰式ではリザーブ選手も合わせて4人での登壇。ベルサイユ宮殿でイギリスのアン王女にメダルを授与された赤いジャケットの4人のアスリートは、初老のイメージを格段に上げてくれたのだ。
【メダリスト会見】馬術“初老ジャパン”92年ぶりの銅メダル! 団体では史上初の快挙■新紙幣
▼受賞者 埼玉県深谷市さん
渋沢栄一が現代のビジネスマンだったとしたら。「しぶさわAIネットバンク」を設立されているかもしれない。
津田梅子が今も長生きしていたら。スマホもらくらく使いこなしていらしただろう。
給与さえデジタルで支払われつつある2024年7月3日。3名が新しい肖像としてあえてのお札で登場した。
やっぱり紙幣はいいなあと北里柴三郎のキュートなホログラムを転がしながら考える。画面上の数字が増えたって「札束」の存在感にはかなうまい。
前回の新紙幣発行は1984年。福澤諭吉先生お疲れ様でした。
40年後、新紙幣は印刷されるのかしら。
■50-50
▼受賞者 大谷翔平さん(ロサンゼルス・ドジャース)
最終結果は54本塁打、59盗塁の記録を残した。
現実が記録の節目を軽やかに超えてしまう。
50-50が報道されたときには、すでに51-51だったのだから。
大谷翔平選手は2023年末、ロサンゼルス・ドジャースへの移籍入団会見で「まず優勝することを目指し、優勝に欠かせなかったといわれる存在になりたい」と話し、ほんとうに1年めで実現してしまった。
昨年に続いてホームラン王。そして打点王と二冠。加えてトリプルスリー達成。2年連続3回目のMVP。これらの偉業の前にはメモリアルも賞賛のことばも追いつかない。
2024年も日本全国SHOHEI OHTANI頼みの1年だった。
大谷翔平選手がMLB史上初の指名打者でMVP 「50-50」も達成した今季を真美子さん、デコピンと振り返る次のページは
■年間大賞 ふてほど■年間大賞 ふてほど
▼受賞者 金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」さん
大手自動車メーカーの認証不正、パーティー券収入の収支報告書不記載など、2024年は不適切事案が目白押しであった。
一方、昨今強化されているのがコンプライアンス。企業は顧客・株主への社会的責任はもちろん、従業員一人ひとりにもハラスメントだ、働き方改革だと配慮が求められる。
集団優先、滅私奉公で経済成長時代を生きた昭和世代にとってはまさにタイムスリップしたかのような激変である。
この、昭和の時代に置いて行かれた感を笑い飛ばしてくれたのが金曜ドラマ「不適切にもほどがある!」。
時代がいつであれ、不適切なことは不適切なのだと教えてくれる。
10月に行われた衆議院選挙、自民党の選挙公約が「ルールを守る」。
国権の最高機関で法律を制定するセンセイ方の公約がこれ。
不適切にもほどがありませんか?
■Bling-Bang-Bang-Born
▼受賞者 Creepy Nutsさん
子どももおとなもプロもアマチュアも、SNSの中で外で、踊った踊った。
ヒップホップユニットCreepy Nutsの素直に伸びる深みのある声と複雑なリズムが合わさって、一度聴いたらもうやみつきだ。
中毒性の高いこの曲は日本のみならず世界中で今年、またたくまに拡散したのだ。
■ホワイト案件
▼受賞者なし
いきなり一般住居の窓を割って侵入し、殴って金品を強奪するなどという犯罪が頻発するのは、闇バイトが悪質化している状況といえる。
しかも高齢者、女性を狙う卑劣極まりない手口は世間に恐怖と怒りを充満させた。
なぜSNSだけで仕事探しを?と思うが、マッチングアプリは普通だし、インターンシップ・就活イベントだって検索サイトが教えてくれる。仕事のキャリアは自己責任。”自由な働き方”が労働市場でうまく使われてしまう環境で、スポットワークにも違和感をもつことはないのだろう。
ホワイト案件として募集される仕事がさらに悪質なのは、「ブラックな仕事にはひっかかりたくない」という人にまで間口を広げてしまうことだ。
「赤落ちした方が社会より楽」実刑の20代特殊詐欺犯が塀の中で考えたこと■名言が残せなかった
▼受賞者 パリオリンピック金メダリスト 北口榛花さん
名言を残さなくってもいいんです、北口選手。
たしかに、オリンピックのメダリストの方々がその瞬間に生む名言は、スポーツに詳しくない層にまで感動を刻んできた。
北口榛花(はるか)選手は、日本陸上女子、マラソン以外のフィールド種目で初の快挙をなしとげた。
そんな北口選手に名言はいらない。
しなやかな身体からダイナミックに放たれたやりの高い放物線と、そのあふれでる明るいお人柄。これらすべてが「女子やり投げの北口榛花」として私たちの記憶に強く強く残っているのですから。
■もうええでしょう
▼受賞者 Netflixシリーズ「地面師たち」チームさん
怖い、怖いドラマが2024年ヒットした。
東京オリンピック2020前夜の東京が舞台。偽の土地所有者になりすまし本物そっくりの書類を用意して、デべロッパー相手に嘘の土地売買契約を成立させて巨額のカネをだまし取る不動産詐欺グループ「地面師」の、実際にあった事件をモチーフにした物語。
クライマックスは、偽所有者の本人確認の場面。さあ通るかどうなのか、息詰まるこの時、ピエール瀧演じる後藤のキメの恫喝「もうええでしょう」。
ここで視聴者の心臓は一瞬止まるのだ。
SNSやネットのコメントにさらされて、とがった番組が制作されにくい時代だが、ゾーニングされることは悪いわけではない。
有料動画配信界隈の幅広いコンテンツの深みにはまる人も増えた。
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