ミノムシの糸から新しい繊維が開発されました。どのような可能性を秘めているのでしょうか?
ミノムシの糸 製品化へ
11月20日、医薬品メーカー「興和」が会見を行い、
ミノムシが吐き出す糸を、世界で初めて製品化に成功したと発表しました。
興和と農業・食品産業技術総合研究機構が8年がかりで開発したもので、
ミノムシの糸は「MINOLON(ミノロン)」というシート状の新素材に加工されます。
ミノムシの糸は「強くて丈夫」
ミノムシはミノガ科に属するガの幼虫の総称で、タンパク質で構成された太さ0.01ミリほどの糸を吐き、葉や枝を絡めた巣を作ってその中で生活をします。
研究によると、ミノムシの糸は「切れにくさ」がカイコの糸の5倍、クモ(オニグモ)の糸の2倍と、自然繊維の中で“最強”クラス。
またタンパク質由来なので、環境への負荷が少ないのも利点です。
シート状の素材にすることで、
従来の炭素繊維プラスチック素材(CFRP)と合わせると衝撃発生時に柔らかく強くなるとしています。
ーどうしてミノムシに注目したんですか?
「興和」上席研究職 未来事業企画室長 浅沼章宗氏:
ミノムシの糸が強いということが数年前にわかってきたのと、なおかつクモと違ってミノムシの場合は大量飼育ができる。
クモは生餌でないと飼育できませんし共喰いをしてしまうんですが、ミノムシの場合は共喰いをしないのでかなり大量にいっぺんに飼育することができるということで着目いたしました。
特別に「MINOLON」を触らせてもらうとー
コメンテーター 山之内すず:
すごく艶があります。思ったよりしっかりしていて、弾力がある。
ミノムシの動きをコントロール!?
開発で難しい点は、均一なシートを作るため、いかにミノムシの動きを制御するかだといいます。
長年の研究により、なんとミノムシが糸を吐きながら動いて「Kowa」という文字を書いたシートも。
恵俊彰:
ミノムシが描いたの!?どうやってコントロールするんですか?
「興和」上席研究職 浅沼章宗氏:
そこがノウハウでして。今、喉まで出かかってるんですけど・・・
恵俊彰:
企業秘密だ。そりゃそうだ。
「興和」上席研究職 浅沼章宗氏:
ただ、ミノムシは動く際に階段状に糸を吐いてそこを這っていくという習性があります。
ミノムシをどう動かすかというところが、均一なシートを作る点で非常に難しかったです。
弁護士 八代英輝:
コントロールできる対象だと思ってなかったです。すごいですね。
可能性は無限大 スポーツ用品で実用化も
ミノムシの繊維が世の中を変える新素材になるかもしれません。
ミノムシの糸の強さ・丈夫さ・軽さを生かし、様々な分野と組み合わせることで可能性が広がります。
例えば、▼ゴルフクラブ▼スキー板▼ラケットのフレーム▼釣り竿▼自転車フレーム▼スポーツシューズのソールなど、スポーツ製品の素材に。
弁護士 八代英樹:
スキー板はひょっとして軽くなるんですか?
「興和」上席研究職 浅沼章宗氏:
その可能性ももちろんあります。
渡辺満里奈:
強さだったり、パフォーマンスが良くなりますよね。
さらに将来的には
▼航空機や自動車の部品▼防弾チョッキ
などにも活かせる可能性があります。
浅沼氏は
「ミノムシ繊維を短くして混ぜ合わせたプラスチックがより丈夫になるというデータもあることから、いろいろなものとの複合が期待される」と話しています。
第1弾として、ミノロンシートが入ったスポーツ製品が共同開発先から販売予定ということで、すぐにでも我々の身近なものとなりそうです。
恵俊彰:
劇的に我々の生活が日常が変わる可能性がありますね。
「興和」上席研究職 浅沼章宗氏:
はい。そこを期待しております。
(ひるおび 2024年11月25日放送より)
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<プロフィール>
浅沼章宗氏
「興和」上席研究職 未来事業企画室長
ミノムシの糸「ミノロン」研究開発に8年従事
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