積水ハウスなどが発表した新防犯サービスは、住人の行動データによる「防犯スコア」で価格が変動し、防犯意識向上を促す。専門家は、行動変容型の価格戦略が双方に利益をもたらし、社会課題の解決にもつながると評価している。
住人の行動で料金が変動「世界初の防犯サービス」
住む人の行動によって価格が変わる、「世界初の防犯サービス」が発表された。
この記事の画像(11枚)十分に玄関の戸締りをしたら「Good」、窓のクレセント錠も閉めれば「Excellent」。あなたの家庭の「防犯スコア」はどうか。
22日、大手住宅メーカー「積水ハウス」や「博報堂」、「ALSOK」が新たな防犯サービスを発表した。
異常を検知したらガードマンが自動で駆けつけるサービスで、「防犯スコア」という独自の評価制度により、価格が変動する世界初の仕組みだ。
「防犯スコア」は、「1日の解錠時間」や「夜間のドアの施錠回数」などの、過去3カ月の様々な防犯行動から3段階で総合的に評価する。
改善が必要な「ノーマル」と、最も良い評価の「エクセレント」では、月額1000円の差がある。
行動習慣を可視化し価格に反映することで、住人自身の日々の行動を改善し、防犯意識を高めることが狙いだ。
積水ハウス 常務執行役員・吉田裕明氏:
お客様に少しずつ努力をしていただきながら、家の防犯を高めるということで、よりリーズナブルな価格で防犯セキュリティを受けることができる。
このサービスは、12月13日から申し込みが始まる。
長期的関係を重視する価格戦略の重要性
「Live News α」では、デロイトトーマツグループ執行役の松江英夫さんに話を聞いた。
海老原優香 キャスター:
住む人の行動で価格が変わる興味深いサービスですが、松江さんはどうご覧になりましたか。
デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
こういった価格の決め方は、非常に画期的だと思います。企業にとって、顧客といかに持続的に付き合うかが非常に大事なんですが、そこにおいて重要なのが長期的な関係づくりに向けた価格戦略(プライシング)にあります。
大事なのは、お客さんが企業と長く付き合うことによってメリットを感じられるか、ここの仕掛けづくりが大事なんですが、従来は「期間」と「量」によってメリットを感じさせるのが一般的でした。
例えば、期間で言うと、サブスクリプションのように一定の期間内で自由にサービスを選べる、こういったメリットの作り方や、量で言えば、マイレージやクレジットカードのポイントのように、たくさん買うとそれだけメリットがある、こういった考え方は、かなり定着していると思います。
行動変容で価格が下がる仕組みと社会課題解決への期待
デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
そして今後注目すべきは、「顧客の行動変容」に基づくプライシングです。
海老原キャスター:
今回紹介した防犯サービスも、ここに入るわけですね。
デロイトトーマツグループ執行役・松江英夫さん:
これは、企業と個人が共通の目的を設定して、その達成度に応じて価格を変えることができる考え方なんですが、例えば健康増進型の生命保険や、安全運転すると保険料が下がる損保などがあります。
今回の防犯もその1つですが、防犯も、個人の防犯力が高まると企業の防犯コストが下がるので結果的に価格も安くなる、こういったウィンウィンの関係が期待できることが特徴だと思います。
これから、企業も個人も同じ方向を向くことよって社会の課題も解決していく、こういった好循環につながることを期待したいと思います。
海老原キャスター:
政府も新しい経済対策に、防犯機能が高い住宅設備に対する補助の拡充などを盛り込みましたが、一人一人の防犯意識を高めていきたいですね。
(「Live News α」11月22日放送分より)
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