(ブルームバーグ):10月は米株式相場が1年で最も荒くなるとの悪名をはせているが、今年はすでにその様相を示している。
第4四半期初日の1日にS&P500種株価指数は9月6日以来の大幅安となった。イランがイスラエルにミサイルを発射し、安全資産に逃避する動きが強まったためだ。恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は1日、一時20.7まで上昇した。これは8月の米消費者物価指数(CPI)が発表され、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びが市場予想に反して加速した9月11日以来の高水準だ。
投資調査会社CFRAによると、10月の平均ボラティリティーは1945年以降、他の11カ月の平均を34%上回っており、10月を上回る月はない。
EPウェルス・アドバイザーズの投資戦略担当マネジングディレクター、アダム・フィリップス氏は「地政学的な懸念の高まりもさることながら、接戦となっている米大統領選挙が終盤を迎えようとしている」と指摘した。
1929年と1987年、さらに2008年の暴落を受け、10月は株式にとって不気味な月とみなされているが、相場の季節性などの統計を集めた「株式トレーダー年鑑」によれば、戦後13回の弱気相場において流れを変えたことから、「ベアキラー」としても知られている。
10月は8月や9月よりも株式のリターンは高い。実際、ブルームバーグのデータによれば、S&P500種は過去30年間、10月に平均約1.8%の上昇を記録している。ただ、今年の9月は2%上昇しており、投資家が心配するようなことは何もなかった。
では、なぜ10月の乱高下が知られているかというと、大統領選を前に苦戦しても、結果が判明すると、年末にかけて力強い上昇を見せる傾向があるという説がある。株式トレーダー年鑑によれば、1952年以降の選挙年にS&P500種の成績は、10月が平均0.9%安と最下位となっている。
株式トレーダー年鑑の編集者ジェフリー・ハーシュ氏はリポートで「1950年以降の選挙年では、10月は初めから弱く、月半ばごろにいくぶん強含むが、その後に再び弱くなり、最後に上昇しても損失を出している」と指摘している。
もちろん、現在の株式市場は今後数週間から数カ月の利下げ幅を巡って不確実性にさらされている。金利スワップ市場は、11月の0.5ポイント利下げの確率を3割強と予想している。
今後約6週間には、2カ月分の雇用統計や米大企業の決算発表、11月5日の大統領選挙、そして11月6-7日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合が控えている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、S&P500種は9月末までの9カ月で21%上昇し、年初来としては1997年以来の大幅高となり、9月30日には今年43回目の最高値を記録したばかりだ。現在、S&P500種のオプションスキュー(株式ポートフォリオを保護するコストの割高感を示す)は、8月上旬の急落前の水準をなお上回っている。
EPウェルスのフィリップス氏は「最近のFOMC会合を受け、センチメントは一段と敏感になっている」と指摘。「ソフトランディングのシナリオや金融緩和継続への期待を後押ししないデータには過敏に反応するだろう」と述べた。
原題:October’s Turbulent History Is Back in Vogue: Taking Stock(抜粋)
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