(ブルームバーグ):香港の株式ブローカーらが、自身のキャリアでも有数の多忙な時期を過ごしている。中国当局が9月下旬に広範な景気刺激策を発表し、中国企業の株価がここへきて急伸していることが背景にある。

香港の大手証券会社、耀才証券(ブライト・スマート・セキュリティーズ)で最高経営責任者(CEO)を務めるエドムンド・フイ氏は、同社での証券口座開設数が「大幅に増加」したと述べた。カスタマーサポートのスタッフは多くが、計画していた休暇取得を取りやめ、かつてなく急増した顧客からの問い合わせに24時間体制で対応しているという。

香港の他の証券会社も、同様の高揚感に浸っている。香港の個人投資家に人気の取引プラットフォームを提供する老虎証券は、先週の口座開設数が73%急増したことを明らかにした。

投資家の関心が急上昇している裏では、過熱の兆候も見られる。一部のペニーストック(超低位株)が400%余り急伸したり、社債でデフォルト(債務不履行)を引き起こした不動産開発会社の株価が200%余り上昇したりという具合だ。しかし、少なくとも今のところは買い疲れの兆しはほぼない。

 

香港株式市場の売買代金は2日に4340億香港ドル(約8兆1700億円)に達し、過去最高を記録した9月30日の水準に迫った。香港メディアによると、一部の証券会社や銀行ではシステムに過大な負荷がかかり、顧客がモバイルアプリにログインするのが困難になったケースもあった。

KGIアジアの投資戦略責任者、ケニー・ウェン氏は「忙しい日だった。顧客からの問い合わせがひっきりなしにあり、昼食も取れなかった」と話した。「市場のセンチメントが良好なことからすると、恐らく高水準の売買が続き、向こう1、2カ月は忙しい状態が続くかもしれない」と話した。

ジャナス・ヘンダーソン・グループのファンドマネジャー、サット・ドゥーラ氏は韓国やインドといった市場への関心が薄れているのに対し、「中国が唯一の勝ち組だ」と述べた。

香港の主要株価指数であるハンセン指数は2日に6.2%高で終了。中国本土銘柄から成るハンセン中国企業株(H株)指数は7.1%上昇した。中国本土は国慶節(建国記念日)の連休中だが、本土株の指標であるCSI300指数は連休前最後の取引日に強気相場入りした。

こうした急上昇を受け、中国株は今年これまでのところ主要市場で最良のパフォーマンスを記録。中国株は、経済の不振と長引く不動産市場の低迷を背景に、ここ数年間の大半にわたって低調だったが、著しい変化が訪れている。

 

原題:Hong Kong Brokers Swamped by ‘Once In a Century’ Stock Frenzy(抜粋)

--取材協力:Sangmi Cha.

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