(ブルームバーグ):27日の東京外国為替市場で円相場は1ドル=145円台前半に下落。米国の経済指標の堅調を受けたリスクオンの動きや、自民党総裁選に対する警戒感が円の重しになっている。
SBIリクイディティ・マーケットの上田真理人金融市場調査部長は、米国経済のソフトランディング(軟着陸)への期待があり、ドルが底堅いと指摘。一方で、自民党総裁選で高市早苗経済安全保障担当相の当選が決まれば「ある程度反応するだろうが、ドルが145円台から一直線に上昇するとはみていない」と話した。
27日の自民党総裁選では高市氏のほか、石破茂元幹事長、小泉進次郎元環境相の3氏が有力視されている。利上げへの反対を公に表明している高市氏が当選すれば、日銀の追加利上げが大きく後ずれするとの見方が出ている。産経新聞は同日、麻生太郎自民党副総裁が高市氏を支持する意向を固め、岸田文雄首相らに伝えたと報じた。
26日の海外市場では堅調な米経済指標を受けてドルが買われた。先週分の米新規失業保険申請件数が4カ月ぶりの低水準となったほか、4-6月(第2四半期)の実質国内総生産(GDP)確報値は前期比で年率3%増加とエコノミスト予想を上回った。イエレン米財務長官は26日、利下げに伴い労働市場は安定化するとの期待を示した。
イエレン米財務長官、2%インフレは可能-為替介入は無秩序な場合に
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは27日付リポートで、「リスク心理改善からクロス円中心に円安圧力が強い」とし、米雇用関連指標も堅調で追加利下げ期待の後退もあり「ドル・円は145円台定着をうかがう展開」と指摘。きょうは自民党総裁選が最大の焦点で、値幅が大きくなる可能性があるとの見方を示した。
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