(ブルームバーグ):東京エレクトロンの河合利樹社長は、新市場開拓につながるインドへの本格参入について「非常にエキサイティングに思っている」と期待感を示した。インド政府は経済安全保障などの観点から半導体産業強化を後押ししており、東エレクにとっても追い風になる。

東エレクは10日、インド財閥大手タタ・グループ傘下のタタ・エレクトロニクスと半導体エコシステム形成に向けた戦略的パートナーシップを結んだ。製造装置のテクニカルトレーニングや研究開発を支援する。河合氏は25日のインタビューで、14億人超の人口を抱え国内総生産(GDP)の伸び率も他国を上回るインドで「新たなビジネスを構築していきたい」と述べた。

東京エレクトロンの河合利樹社長はインタビューで、インド市場への本格参入について語った

インドのモディ首相は、国内に半導体のサプライチェーンを構築するため、補助金を計上して世界の主要企業に誘致活動を行っている。米マイクロンは後工程工場を建設するほか、ルネサスエレクトロニクスはインド事業の人員を2019年比20倍の1000人に増やす計画を5月に示した。半導体を使う側の米アップルもiPhone上位機種を同国で初めて生産する。

インドにはマーケティング拠点があるだけで駐在員はいない。今後は日本からエンジニアを派遣するほか、26年をめどに研究開発などでの支援体制を整備するため、「現地のエンジニアを採用、育成していくようなプログラムが必要」になるという。遠隔サポートも活用しながら効率性を高めて対応するとしたが、インド拠点について人員数を含めた具体的な規模は言及しなかった。

一方、中国の売上比率は徐々に縮小する。4-6月期で約5割だった同国の売上比率は、国内投資一巡などの要因で下期に4割を切り、将来的には25-30%程度になると見通す。米中対立が長期化し、双方が新たな措置を講じる可能性が報じられていることについては、「半導体の重要性は変わらない。どこかに必ず投資はある」と述べた。

東京エレクトロン河合社長(25日・都内)

半導体関連株は、過熱気味の人工知能(AI)ブームへの警戒感から8月以降乱高下が続く。河合氏は「市場ではかなりAIにフォーカスし過ぎているところもある」とした上で、AIサーバーの伸長に加え、来年以降はパソコン、スマートフォンにもAIの搭載が広がるとみており、「成長ポテンシャルがあるのは間違いない」と述べた。

東エレクの今期(25年3月期)の営業利益計画は、前期比37%増の6270億円で過去最高益を見込む。

--取材協力:Shery Ahn.

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