(ブルームバーグ):米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは24日、次期米政権は「拡大する財政赤字と取り組まなくてはならない」と警告した。同社は昨年11月、米国の信用格付け見通しを「ネガティブ(弱含み)」に引き下げている。
「次期政権が打ち出す税と支出の政策は将来の財政赤字規模を左右し、財政力の低下予想に影響する。その結果として米国の信用格付けに著しい影響を与えかねない」とクレア・リー、ウィリアム・フォスター両アナリストはリポートで指摘した。「この軌道を修正する何らかの政策措置が取られない限り、現在の債務構図はますます持続不能となり、Aaa格付けとの整合性はさらに低下する」と警告した。
ムーディーズは昨年、米国の信用格付け見通しを従来の「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ(弱含み)」に引き下げた。財政の健全性に関するリスクや政治の分極化を理由に挙げた。格付けは最上級の「Aaa」で維持した。
米国の格付け見通し「ネガティブ」に引き下げ-ムーディーズ (4)
3大格付け会社のうち、S&Pグローバル・レーティングは2011年に、フィッチ・レーティングスは23年8月にそれぞれ米国の格付けを最上級から引き下げている。
ムーディーズのフォスター氏はブルームバーグとの電話インタビューで、次期政府と議会が来年にどう財政基盤の強化に動くかを見届けてから、信用格付け見通しについて決定すると述べた。
「長期的に見て、拡大する赤字に財政政策が何ら対処しないのであれば、トリプルA格付けへの圧力は強まる」とフォスター氏。「財政政策こそが最前線の中心にある」と強調し、「だからこそ今、財政政策での対応に焦点を絞ることが大切だ」と述べた。
17年に成立した税制改革法を恒久化するのか、あるいは失効を容認するのかをムーディーズは注視していくとフォスター氏は述べた。「これこそが財政見通しを改善し得るツールだと当社はとらえている。特に歳入面での改善で重要であり、当社は細心の注意を払って見ていく」と話した。
原題:US Debt Top Rating in Doubt If Deficit Ignored, Moody’s Says (1)(抜粋)
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