(ブルームバーグ):20日はスマートフォン「iPhone」を手掛ける米アップルの株価には良い日になるはずだった。主要株価指数の四半期ごとの調整で、アップル株は大きな追い風を受けると見込まれており、20日の取引の大部分はそうした展開となった。しかし、それは取引終了のベルが鳴る10分ほど前までだった。

取引終了時までには、アップル株は日中高値から2%余り下落し、前日比マイナスで取引を終えた。予想外の展開に、市場ウオッチャーらは、誰が引き金を引いたのか、何が契機となったのか推測を巡らせている。

証券会社に終値で株式売買を指示する引け成り行き注文は、3000万株の売り越しという異常な不均衡となり、アップル株の過去3カ月間の1日平均出来高の半分以上相当がウォール街の1週間が終わる数分間に一気に売却された。

こうした大量の売り圧力は想定外だった。ウォーレン・バフェット氏が4-6月(第2四半期)に保有するアップル株の大半を売却したのを受け、多くの指標で同社の比重が大幅に増加することから、主要な株式ベンチマークに追随するファンドは20日に同社株の大口の買い手になると予想されていたからだ。

アップル、主要株価指数で影響力強まる公算大-バフェット氏の売却で

急落の要因を巡っては、アクティブ運用ファンドの一部が、この予測可能な流動性を利用し保有株を圧縮した可能性を指摘する説もある。

ミラー・タバク+のチーフマーケットストラテジスト、マット・マレイ氏は「かなりの量の株式を売却するためリバランスの機会を利用したかった投資家も一部いる」と指摘。「彼らは大量の買い注文が市場に押し寄せると知っていたので、株価を大きく押し下げずにかなりの量の株式を売却するには絶好のタイミングだと考えた」と分析した。

アップル株の20日終値は前日比0.3%下落したものの、先週全体では2.6%の上昇となった。23日の株価は一時1%下落した後に下げ渋り、0.8%安で終了。

もう一つ考えられ得るのは、裁定取引プレーヤーがリバランスに先立ち、アップル株を買い集めていた可能性だ。パイパー・サンドラーは、パッシブファンドから350億ドル(約5兆円)の需要が創出されると推定しており、19日までの3営業日連続で株価が上昇し、その間に株価は6%近く値上がりしていた。

取引が混雑しつつある状況において、主要指数における構成比率が高まる銘柄を買い、影響力が低下する銘柄を売ることは、ヘッジファンドの世界では信頼性の高い戦略と受け止める向きが多い。

ウォーラックベス・キャピタルの上場投資信託(ETF)担当ディレクター、モヒット・バジャジ氏は、「裁定取引者はリバランス日の取引終了時に動きがあると考えているため、さまざまな指数イベントに先立ちポジションを前もって確保しようとする。実行は難しくなりつつあるが、それでも実際に起こっている」と述べた。

原題:Apple’s Late-Day Plunge Stirs Speculation Over Who Was Selling(抜粋)

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