9月も後半ですが、17日も京都では猛暑日となり、なかなか夏の終わりが見えません。

そんな中で人気が急上昇しているのが、家の「断熱リフォーム」だといいます。

人気の理由は、「猛暑」だけではないということで、背景を取材しました。

■「秋の真ん中」の時期でも、「猛暑日」「熱帯夜」の記録を更新中

【記者リポート】「9月も半分が過ぎましたが、京都市内の気温、手元の温度計でなんと38度、立っているだけで汗がふき出してくる暑さです」

17日も「猛暑日」となった京都市、実は、9月17日までで「猛暑日」を年間51日、夜の最低気温が25度を上回る「熱帯夜」を60日観測。

【金沢からの観光客】「大谷さんじゃないですけど、50‐50を覚悟して来たんですが本当に暑いです。これがいつまで続くのか、去年みたいに秋が短いのか、心配をしてますけど」

17日は「中秋の名月」。
旧暦ではすでに「秋の真ん中」の時期ですが…夜になっても、30度を超える状況が続いています。

なかでも多く聞こえてきたのは、家の暑さを嘆く声です。

【街の人】「エアコンはずっとつけっぱなしで」(Q.夜寝る時も?)「はい」

【街の人】「昼も夜も冷房なかったら生きていかれへんような感じですね」

■日本の家が「暑くなりやすい」原因は“窓” 急激に高まる「断熱リフォーム」人気

そんな中、関西テレビが取材したのは、大阪府茨木市に住む中島さんのお宅です。

【中島理恵さん】「基本的に、ずっとむーっとしている。エアコンを夏はつけてから冷えるまで1時間以上かかるので。遮熱のカーテンを使っている。ちょっとでも涼しくなるように。それでも暑くてあまり意味がない」

実は、ほとんどの日本の家の断熱性能は、現在の基準に達しておらず、「世界最低レベル」ともいわれています。

特に、断熱性の低い窓が、熱を取り込んでしまうことが、日本の家が「暑くなりやすい」原因になっているのです。

中島さんのお宅では、暑がりの父親とちょっとしたトラブルも。

【中島理恵さん】「エアコン下げろっていう論争。父親がブワーってエアコンかけて室外機がまわるとうるさい。エアコン切れって私たちが言って」
【中島理恵さんの父】「もめてたな。文句言うんです」
【中島理恵さん】「私が文句言って『うるさい、寝られへん』って」

■内窓が暑さを軽減

そこで、中島さんはことし7月、ある決断をしました。

【中島理恵さん】「今までここにあった窓の上に、二重で窓をつけてもらいました」

多くの時間を過ごすリビングなどで、窓を「断熱リフォーム」したのです。

「断熱リフォーム」では、既存の窓に加えて内窓を取り付けることで、その間の空気層が断熱材の役割を果たし、暑さを軽減することができます。

【中島理恵さんの母】「すごい幸せでした、ことし(の夏)は。エアコンよくきくし」
【中島理恵さんの父】「寝るときですね。一番(効果を)感じるのは」

■人気の背景には「補助金」も

業者に聞くと、実はいま、「断熱リフォーム」人気が急激に高まっているそうで…。

【SENSHOHOUSE株式会社 坂梨めぐみ店長】「2023年度は去年の20倍の売り上げがありました」

人気の理由は、「猛暑」だけではありません。

背景には、国が主導する大型プロジェクトがあります。

■2023年スタートの「先進的窓リノベ事業」 最大で200万円の補助金

2年前に「断熱リフォーム」をした、村田さん一家を訪ねると。

【村田耕司さん】「補助金が99万5000円で半分強(が補助金)。本来なら200万円かかったのが、約100万円になっている」

国が去年からスタートした、「先進的窓リノベ事業」。

年間で1350億円もの予算が組まれるこの事業では、断熱窓への改修工事に対し、最大で200万円の補助金が支払われます。

村田さんの場合だと、窓27カ所で工事を行い、およそ半額が補助金で賄われました。

【村田耕司さん】「(半分は)大きいですよね。このときにやっておかないと、と思います」(Q.補助金がなかったら?)「やってないです。というかできてないでしょうね」

国が「断熱リフォーム」の普及に力を入れるのは、環境面への効果が期待されているからです。

【村田耕司さん】「いま日が照ってるんですけど、開けたらもう暑いのが入ってくる。閉めちゃうと暑いのがない。冷房の温度を2度上げることができました。これだけ猛暑でも27度の設定でいける」

村田さんの家でサーモグラフィーカメラを使ってみると、工事でとりつけた内窓を開けた瞬間、窓際の温度が10度以上上昇。

断熱窓が、かなりの熱を遮断していることがわかります。

リフォームの効果で、エアコンの設定温度を緩和できるため、その分CO2の削減などにつながるということです。

【村田耕司さん】「きょうも息子や孫が来ている。自分の家よりここのほうが涼しいので来ていると思う。しょっちゅう来る」

(Q.おじいちゃんの家は涼しい?)
【孫】「こっち(の家)はあんまり扇風機かけてないのに(涼しい)。自分の家はめっちゃ回しているのに、全然涼しくない」

一方、補助金制度が、まだ多くの人に知られていないという課題もあるそうです。

【SENSHOHOUSE株式会社 坂梨めぐみ店長】「約2年間続いている補助金なんですが、知らない方が大変多い。(年間の予算を)使い切ってしまったらそこでストップ終わりになる事業。急がれる方は冬に向けて、来年の夏に向けて補助金を使ってのリフォームをオススメしたい」

暑さ対策にいまおトクな「断熱リフォーム」、さらに人気を集めるかもしれません。

■「開口部リフォーム」で年間冷暖房費1万円以上削減というデータも

断熱リフォームによってどういう変化があるのか、年間冷暖房費の変化を見ていきます。集合住宅、3LDK、一般モデルで4人家族を想定しています(※提供:LIXIL)。

・開口部リフォーム前 年間で33,483円
・開口部リフォーム後 年間で21,985円、34%削減されます

リフォームは夏の暑さだけではなく、冬の寒さにも効果があると言われているので、年間を通してこれだけ削減できるというデータになっています。

いま冷暖房機もかなり高くなっています。

【関西テレビ 神崎博報道デスク】「このデータだけ見たら年間1万円ぐらいしか安くならないのかと思うかもしれませんけれども、どんどん電気代は上がっていますし、灯油なども上がっています。リフォームで最初に結構お金はかかるのですが、さらに燃料価格が上がっていったりすると、回収も早くできるかもしれませんので、そういう意味でやってみる価値はあるんじゃないかと思います」

【大阪大学大学院 安田洋祐教授】「同じエアコンを買っても、そんなに設定温度を下げなくていいとなれば寿命が長くなるかもしれないです。あと、例えば今まで3台で冷やしていたのが、2台に節約できるとなったら、エアコンの分が得になってくる。実際にデータの数字以上に得があるかもしれない。もともと『日本の家の断熱性能は世界最低レベル』だという話がありましたけれども、逆に“伸びしろ”があるので、お得かつ環境面の負荷を下げていく取組みは、今後どんどん進んでいくといいなと思います」

断熱リフォームのポイントは窓ということでした。

【関西テレビ 神崎博報道デスク】「従来ある窓の内窓を作る方法とか、ペアガラスといって2枚のガラスの間に空気の層が入っているものがある。私は家を買うときにペアガラスにしたら、だいぶ断熱効果が上がりまして、エアコンの設定温度がちょっと高めでも大丈夫だったりします。見晴らしをよくするので大きな窓が付いているところなどは、窓を変えたらだいぶ変わってくると思います」

記録的な残暑で、今も猛暑が続いている中ですが、断熱リフォームを検討してみてはいかがでしょうか。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年9月17日放送)

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