(ブルームバーグ):中国の消費者需要が低迷する中で、一部のブランドは依然として2桁増収を記録している。世界2位の経済大国である中国では、暗い話題ばかりではないようだ。

一流の高級ブランドやディスカウントショップが需要不振に苦しむ一方、少数の選ばれた消費関連企業は、中国経済が活況を呈していた時代をほうふつとさせる桁外れの伸びを記録している。

カーニー・チャイナのマネジングディレクターであるシェリー・ホー氏は「中国の消費者はマクロ環境が厳しい中で、より成熟し、理性的になってきている」と分析し、価値や心地よさを求める傾向が強まっていると指摘。「小売企業はこうしたニーズにうまく対応してこそ、勝算がある」と付け加えた。

勝ち組が他社とどう差別化を図っているか、以下で詳しく検証した。

サムズ・クラブ

米ウォルマートが展開する会員制量販店サムズ・クラブは、中国のスーパーマーケットの業績不振に逆行。生鮮食品から焼き菓子、飲料、家庭用品に至るまで幅広い商品で買い物客をとりこにしている。客はお気に入りのサムズ商品をソーシャルメディアで頻繁にシェアしており、中間層の消費者の間でカルト的な人気を博している様子をうかがわせる。

サムズがうまくいっている要因の一つは、「less-is-more」(少ないほど良い)というアプローチだ。すでに市場に出回っているブランドか、全国からえりすぐったサプライヤーと共同開発したプライベートブランド「メンバーズマーク」のどちらか、その種類で最高のものだけを販売している。

2014年からサムズ会員だという上海在住のシャオマイ・チャンさんは「店側で商品を既に選んでくれているようなものだ。複数のブランドを比較することなく、必要なものを買うだけで、より分かりやすく、ストレスのない買い物ができる」と話す。

ウォルマートはこのような体験を顧客に提供することで、5-7月期の中国での既存店売上高は前年同期比13.8%増加し、サムズの中国会員収入はこの間26%急増した。

ルルレモン、アークテリクス

スポーツウエアと普段着を兼ねたアスレジャーとカジュアルウエアの魅力は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で外出自粛が呼び掛けられた時期に高まった。中国で5億人に上る中間層の間で一段とアクティブなライフスタイルが受け入れられる過程で、その魅力はさらに増しているようだ。ヨガウエアを手掛けるルルレモン・アスレティカは、安価な代替品との競争に直面しながらも、今年は中国販売が伸びている。5-7月期の中国本土での純収入は34%、既存店売上高は23%それぞれ増えた。

企業は同業者の影響力を活用することで、進化する顧客層を開拓することを学んでいる。最近では、カナダのアウトドアブランド、アークテリクスのアクティブウエアを所有することが、ソーシャルメディア上で 「中間層の必需品 」の一つとして宣伝されている。

このため、アリババグループのオンライン・マーケットプレイスである天猫(Tmall)で、アークテリクスの代表的なアウトドア・ジャケットが、地元ブランドの類似品が数分の一の価格で販売されているにもかかわらず、飛ぶように売れてしまうのも驚きではない。同ブランドのオーナーであるアメアスポーツは、大中華圏での売上高が前年同期比54%増加した。

原題:Sam’s Club, Lululemon Among Brands Defying China Consumption Dip(抜粋)

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