舞台は、高知県高知市。4つの大きな「箱」のおかげで、片付けから解放された家を紹介する。

杉材の外壁で覆われた三角屋根の家

 住人(アルジ)は、3人の子供がいる夫妻。ともに県職員として働き、3年前に新居を建てた。杉材の外壁に覆われた三角屋根の家に入ると、天井高5メートルの間仕切りのない大空間が広がる。床は全面モルタル。そして、中央には四角い箱のような形をしたスペースがある。家にはこのような箱が4つあり、中には天井からぶら下がっている箱も。実はこれら箱のおかげで片付けいらずになり、住人(アルジ)は大助かりなのだという。

住人(アルジ)の無理難題を叶えた4つの箱

 結婚後、高知市内の賃貸マンションで暮らしていた一家。だが、妻は子どもたちが遊んで騒ぐ音や収納の少なさが気になりだし、夫も趣味のスイーツ作りに没頭できない環境に悩んでいた。そんなとき、妻の実家近くに土地を発見し、賃貸マンションの暮らしで抱えていた不満を全て解消するようなマイホームを建てることに。子どもは遊び放題で、趣味も大満喫。なのに片付けしなくてもいい・・・そんな無理難題を叶えた秘策が、4つの箱。しかも箱は中だけでなく、上も下もその周りまでも活用できる“一石四鳥”のスペース活用法だった。

子どもが小さい頃は食べこぼしなどが多いためすぐに水拭きができるようポリウレタン素材のマットを敷いている

 天井高5メートルのメインスペース。テーブルしかないエリアはダイニングで、子どもが小さい頃は食べこぼしが多かったため、椅子は置かず座卓にしている。その代わり、座ってくつろげるよう床にはゴムのように柔らかく耐久性があるポリウレタン素材のマットを敷いた。水拭きができるので、掃除も楽々だ。

宙に浮く箱の下を掘り下げ子供立ちが自由に遊べるスペースを確保した

 ダイニングの隣の浮いている箱の真下には、頭をぶつけないよう一段掘り下げた子どもの遊び場がある。段差になった床下にはおもちゃを収納。くぼみの中は散らかしてもOKというルールにしている。くぼみの深さは42センチ。腰を掛けるにも、中に座って背もたれにするのにもちょうどいい高さで、ソファーがいらない分、省スペースにもなっている。遊び場の真上には宙に浮いた箱が。5帖のシアタールームになっており中に入る時は、持ち運びできる折りたたみ式はしごを使用して上るという。

夫の趣味であるスイーツ作りに使う調理器具がびっしり置かれているキッチン

 家の中央にある2つ目の箱は、4.5帖のコンパクトなキッチン。中には夫が趣味のスイーツ作りに使う調理グッズがぎっしりと置かれている。必要な道具や皿がすぐに取り出せるオープン収納になっているが箱の中になるため、ものを出しっぱなしにしていても外からは見えない。集中して作業できるのも箱形にしたメリットだという。

天井まで伸びた謎の白い棒

 そんなキッチンの箱の横には、なぜか白い棒が突き刺さっている。これは「マスト」と呼ばれる登り棒。高知県は保育園から「マストのぼり」という運動会の定番競技があるといい、妻の強い希望で家に取り付けたそう。そんなマストを登ったキッチンの箱の上にあるのは、長女の部屋。実は4つの箱のうち2つの上部がロフトスペースになっていて、それぞれを子ども部屋にしている。下からは全く見えないので、片付ける必要なし。これで妻も子どもを叱るストレスから解放されたという。

あえて箱の上のスペースを使用し子供部屋にした

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