(ブルームバーグ):2023年の米実質世帯所得は4年ぶりに増加した。ただ、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)前の水準にはまだ回復していない。

所得、貧困、医療保険加入に関する国勢調査局の年次報告書によると、昨年の所得の中央値は4%増の8万610ドル(約1150万円)だった。この増加は、22年に40年ぶりの高水準に達したインフレ率の鈍化を反映している。それでも、所得の中央値は19年の水準をなお600ドル下回った。

インフレは鈍化したものの、食料品から住宅、自動車保険に至るまで、物価はパンデミック前よりもはるかに高いままだ。そのため、多くの米国人が昨年はリセッション(景気後退)下のように感じ、経済が大統領選の最重要問題となっている。

実質世帯所得

民主党候補のハリス副大統領は、税控除や処方箋薬の価格引き下げなどを通じて、低・中流家庭をターゲットにした政策を提案している。一方、共和党候補のトランプ前大統領は、ハリス氏を含むバイデン政権のせいで生活費が高騰し、自身の政権時よりも米国人の生活が悪化していると批判している。

今回の報告書では人種と性別で乖離(かいり)が見られる。白人世帯は所得が増加したが、黒人とアジア系、ヒスパニック系世帯は大きな変化がなかった。

フルタイムで働く女性の実質所得中央値は、人種に関係なく男性の半分のペースでしか増加せず、最近の傾向が反転した。女性と男性の所得比率が統計的に有意に低下したのは、この20年で初めて。

人種別の実質所得

米国の公式貧困率(税引前で計算され、政府からの給付金や税控除を除いたもの)は0.4ポイント低下し、11.1%となった。貧困率は過去60年間でほぼ半減し、パンデミック前には過去最低を記録していた。

しかし、税引き後の所得を基準とし、政府からの給付金を含む補足的な貧困指標は、昨年0.5ポイント上昇し12.9%となった。

原題:Real US Household Income Increases for First Time in Four Years(抜粋)

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