(ブルームバーグ):米銀大手JPモルガン・チェースのダニエル・ピント社長は10日、来年の経費と純金利収入に対するアナリスト予想は楽観的過ぎると述べた。これを受けて同行の株価は一時7%余り下げ、約4年ぶりの大幅安となった。売りは銀行株全般に広がった。

現在予想されている純金利収入895億ドル(約12兆7700億円)は、金利見通しを考慮すれば「あまり妥当とは言えない」とピント氏は金融業界の会合で発言。「もっと低い」数字になると述べた。

ピント氏は7-9月(第3四半期)の投資銀行手数料収入が15%増える可能性があるとも指摘。市場関連の収入は2%増加が見込まれると述べた。いずれもアナリスト予想を下回る。

JPモルガン・チェースのダニエル・ピント社長

前日にはゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)が、第3四半期のトレーディング部門が10%減益となる可能性を示唆している。

ゴールドマンCEO、10%減益を予想-今年のトレーディング部門で

悲観的な見通しは大手以外の金融機関からも示された。アライ・ファイナンシャルは自動車ローンの返済遅延と純貸倒償却は予想を上回ったと述べた。これを受けてアライの株価は2020年3月以来の大幅安となった。キャピタル・ワン・ファイナンシャルやシンクロニー・ファイナンシャルの株価もつれ安した。

KBW銀行株指数は一時3.6%下落。連邦準備制度理事会(FRB)は銀行の資本要件案を大幅に変更すると確認したものの、株価を反転させるには至らなかった。KBW銀行株指数は年初からなお12%上昇している。

FRB、大手米銀の資本要件引き上げを半減へ-計画案を大幅変更 (2)

純金利収入は銀行がその資産を元に得た利益と債務負担の差額であり、昨年は金利上昇を背景に最大手4行が過去最大額を記録した。しかし現在は向こう数カ月で複数回の利下げが予想されているため、こうした追い風は弱まっているとJPモルガンのピント氏は指摘した。

モルガン・スタンレーのダン・シムコウィッツ共同社長も、慎重派に加わった。企業幹部との対話は活発になってきているが、合併・買収(M&A)助言サービスと新規株式公開(IPO)ビジネスからの収入は、過去平均を依然下回りそうだと警告した。富裕層相手の資産管理事業では純金利収入が前期に続いて今四半期も減少する見通しだと述べた。

原題:JPMorgan Tempers Earnings Optimism, Leading Bank Stocks Down (1)(抜粋)

(株価を更新し、他の金融機関幹部の発言を加えます)

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