取り壊しの方針が決まっている北九州市の鉄道遺構を巡り、ユネスコの諮問機関イコモスの関係者が、保存を求める緊急要請「ヘリテージアラート」を市の幹部に手渡しました。

◆イコモス国内委員会 溝口孝司副委員長
「日本そして世界にとって、重要な文化遺産を北九州市が軽視していることを深く遺憾に思うとともに失望している」

北九州市を訪れたのはイコモスの国内委員会の溝口孝司副委員長で、施設整備と文化財行政を担当する2人の局長に文書を手渡しました。

問題となっているのは、老朽化した区役所などを集約する公共施設の建設予定地で見つかった明治期の初代「門司駅」の関連遺構で、北九州市は写真などによる記録保存が終わり次第、建設に着手する方針です。

これに対しイコモスは、世界的にも重要な文化遺産だとして、保護を求める緊急要請「ヘリテージアラート」を出して建設の一時中断や保存に向けた学識経験者らとの協議を求めています。

北九州市は、ヘリテージアラートを大切な意見として受け止めるとした一方、老朽化対策は待ったなしだとして事業を推進する方針で、対話に応じるかどうかは明言しませんでした。

◆イコモス国内委員会 溝口孝司副委員長
「(要請を)聞くだけではなく、対話を始めて下さいということ。対話を始めれば(保存に向けた)全ての可能性が広がるし、対話がなければゼロにもなる」

溝口副委員長は、ヘリテージアラートをきっかけに遺構の価値を再認識し、今後の保存方法を検討するための対話の実現を強く求めました。

一方、盛山文部科学大臣は閣議後の会見で、埋蔵文化財行政は地方自治体の所管であり福岡県や北九州市で適切に対応してもらいたいと述べました。

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