人手不足が深刻化している事が日本商工会議所と東京商工会議所による調査で浮き彫りとなった。

全国の中小企業2392社を対象に調査したところ、63%の企業が「人手が不足している」と回答し、65.5%の企業が、事業への影響について「非常に深刻」または「深刻」と回答した。「人手不足」と回答した割合は、2023年の調査より5ポイント改善したが、依然として厳しい人手不足の状況が続いている。なかでも、ドライバーの不足が深刻な運輸業(83.3%)や建設業(79.2%)は人手不足との回答が約8割に達し、「金融・保険・不動産業」(44.4%)や「卸売り・小売業」(55.2%)と大きな差が出た。

人手不足の対策としては、「採用活動の強化」が78.4%と突出して多く、デジタル化(28.6%)やリスキリングなど従業員の能力開発(34.1%)は3~4割に留まっていて、「人手不足」を「人」で補うという発想になっているのが分かる。

また、人手不足対策としてシニア人材の積極活用が挙げられるが、シニア人材(60歳以上)の従業員の割合が3割を超える企業が25.2%と4分の1に上り、中でも従業員20人以下の企業では32.8%と3割を超える事も分かった。

業種別に見ると、シニアの割合が高いのは運輸業(42.6%)と宿泊・飲食業(37.2%)だった。特に運輸業は、シニア割合が5割を超える企業が20.4%に上り、他業種に比べシニア比率が高いことも分かった。

定年となる年齢については、61歳以上が52.2%と半数を超えた。従業員20人以下の企業では、「定年がない」との回答が32.8%と最も多かった。

業種別では、人手不足が深刻な「介護・看護業」の72.2%が61歳以上の定年となっていて、次いで「宿泊・飲食業」も70.9%と7割以上が法定下限の60歳を超える定年を設定していた。

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