(ブルームバーグ):過去数十年の間で最も極端な動きとなった8月の日本市場。株式市場では、主要株価指数の下落率が1987年10月に記録したブラックマンデー以来の大きさに達する歴史的な暴落に見舞われた。東京外国為替市場の円相場は対ドルで38年ぶりの安値から一転し、一時は年初来高値に迫る水準まで反発した。
債券市場でもボラティリティーが急上昇し、市場が混乱に陥るきっかけの一つになった金融政策の正常化に強い意志で臨む日本銀行の姿勢に投資家は試されている。大荒れの8月相場が終わり、新たな月を迎えようとする中、波乱に満ちたドラマを5つのチャートで振り返る。
8月の日経平均株価は、月間の高安値幅が7625円と過去2番目の大きさとなった。過去最大はバブル相場が崩壊し始めた1990年8月に記録した7824円だ。東証株価指数(TOPIX)と日経平均は8月最初の3営業日で20%下落し、ブルームバーグのデータでさかのぼることができる中では最大となった。
その後9月の米金融当局の利下げがほぼ確実となり、暴落のきっかけになった米国経済に対する過度な不安が後退。相場の混乱で日銀が早期に追加利上げに踏み切るとの見方も弱まったことで、終わってみれば8月のTOPIXの下落率は2.9%、日経平均は1.2%まで縮小した。
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円相場も激しい動きとなった。7月3日に付けていたおよそ38年ぶりの安値(1ドル=161円95銭)から急上昇に転じ、株価の暴落でリスク回避の円買いが強まった8月5日に141円70銭と今年1月2日以来の高値を付けた。この間の高安変動率は13%に達した。
年始以来の円安は低金利の円を売り、高金利のドルを買うキャリートレードが動きを助長させていたが、日米金利差の縮小観測が高まる中で一気にポジションが巻き戻され、円の上昇ピッチが加速した。
債券市場では、長期国債先物のボラティリティーの20日平均が過去10年の平均的な変動率を大きく上回る水準まで上昇し、相場の動きが異例なものだったことを浮き彫りにした。
円相場のヒストリカルボラティリティー(1カ月)は、4年ぶりの高水準に達した。7月末の金融政策決定会合で追加利上げを決めた日銀の植田和男総裁は会見で、経済・物価の情勢が見通しに沿って動けば、今後も利上げを継続するタカ派姿勢を強調。相場の大混乱を受け、内田真一副総裁は市場が不安定な状況で利上げはしないとハト派色を見せたが、植田総裁は国会閉会中審査での答弁で基本姿勢を維持した。
債券・為替投資家の間では、ジュピター・アセット・マネジメントのように日銀の利上げと日本円の上昇に賭ける向きが増えている。
海外投資家は日本国債を購入しており、4週間の累計購入額と長期国債先物の価格は昨年4月以来の高水準となった。
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