23日未明、大阪・ミナミにあるラーメン店のシンボル、“龍の立体看板”のしっぽ部分が、撤去されました。
【司紫瑶記者】「いま切り落とされました」
■「しっぽ部分などが敷地にはみ出し」裁判で撤去命じられる
「金龍ラーメン道頓堀店」の正面に取り付けられた龍の立体看板。
去年、隣の土地を所有する不動産会社が、立体看板のしっぽ部分などが敷地にはみ出しているとして裁判を起こし、大阪地裁は店側にしっぽ部分などの撤去を命じる判決を下しました。
控訴審でも判決は変わらず、金龍ラーメンの運営会社は上告を断念。
運営会社の社長は「従業員一同真摯に向き合っていくことが大切だと考えた」とコメントしています。
■切り落とされたしっぽの行方は
そしてしっぽ部分を切断する作業は、看板を制作した「ポップ工芸」が依頼を受けて、23日午前1時半ごろに行われました。
【ポップ工芸 中村雅英前社長】「かわいそうなことしたなぁ思って。しょうがないですね」
たくさんのユニークな看板がある道頓堀。
「ポップ工芸」はこれらの立体看板のうち7~8割を制作しているといいます。
【ポップ工芸 中村雅英前社長】「私も金龍ラーメンの龍みたいに立体看板を作ったのはあの時が初めてなんですね。それまで普通の看板屋さんと同じように文字の看板やってて」
【ポップ工芸 中村雅英前社長】「当然はじめは断った。できないから」
「毎朝同じ時間に起きるのが嫌だ」とサラリーマンを辞めて、看板店を創業した中村さん。
立体造形の知識が何もない中、金龍ラーメンの看板を手探りで完成させたあと、看板は施工業者の手へ。
私有地にはみ出して取り付けられるとは認識していませんでした。
【ポップ工芸 中村雅英前社長】「なんかそういう事情があって取らなあかんとなると、寂しいのは寂しいですね」
賑やかな道頓堀でもひと際目立つこの看板。
1992年以前からあったということで、見た人に強いインパクトを残し続けています。
■しっぽを切られた竜の目には「涙」
【街の人】「過去に来た時このラーメン屋さんがすごく印象に残ってて、(ニュース見て)ここのラーメン屋さんだってすぐ分かって。ばっさり切っちゃったよね、さみしいね」
ばっさり切られて龍もこの表情。
いた~い気持ちを表現するためにこの前日に中村前社長が自ら作った「涙」が付け加えられました。
【ポップ工芸 中村雅英前社長】「単に切るだけじゃ忍びないなということで。金龍さんの思ってはることになるべく協力したいなと」
■しっぽの断面にこだわり
さらにはしっぽの断面デザインにまで、こだわったといいます。
【ポップ工芸 中村健一郎社長】「ただ単に(断面が)普通の肉だっら面白くないんで。じゃあ一工夫しましょうということで考えて話し合った結果、実は肉は金だったと」
「素通りじゃなくて『あっ!』となってもらえたら嬉しいなと思います」
切り落とされたしっぽについて、「透明ケースに入れて展示してほしい」などの声が上がる中、金龍ラーメン側は「どうするか考えていきたい」ということです。
■「大阪らしさ」の象徴も 「はみ出すのは違法」
関西テレビの神崎博報道デスクは、「立体看板は『大阪らしさ』の象徴でもあります。しかし、はみ出してしまうのは違法なので、今回切ったように、はみ出さないようにして残してほしいですね」と話しました。
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