(ブルームバーグ):8月第3週(19-23日)の債券相場は、長期金利の上昇(価格は下落)が予想される。日本銀行の利上げをきっかけとした市場の混乱が沈静化し、リスク資産選好の動きが再び強まっており、安全資産の債券にとっては上値の重しとなりそうだ。

市場参加者の見方

◎三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジスト

  • 株が急落し、債券のボラティリティーが上昇した時期を脱し、足元ではリスク選好の流れが続いており、金利は上振れしやすいだろう
  • 注目材料は三つあり、一つは日米中央銀行トップの発言
    • パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は9月の利下げ幅を示唆する発言があるかどうか、植田和男日銀総裁は衆参両院の閉会中審査で内田真一副総裁と同様、追加利上げに慎重姿勢を示すかどうか
  • 二つ目は20年債入札、利回り水準が低く楽観的になれない
    • 少し前まで1.8%台だったため、1.6%台では水準不足
  • 三つ目は岸田文雄首相の後任候補の顔ぶれと経済財政政策
    • 特に財政規律に関する発言に注目
  • 新発10年国債利回りの予想レンジは0.82ー0.94%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト

  • 金融市場の不安定な動きを受け日銀の早期利上げ観測は後退している。投資家の押し目買いに支えられて底堅い相 場が予想されるが、将来的な利上げ観測は残り、国債利回りの大幅な低下は見込みづらいだろう
  • 日銀オペや投資家の押し目買いが相場を支えようが、投資家は上値追いには慎重な姿勢を維持しよう
  • 20年債入札は1.6%台前半の利回りでは投資家の積極的な買いは見込みづらいが、利回りが上昇すれば押し目買いが見込めるだろう
  • 新発10年国債利回りの予想レンジは0.84-0.91%

主な材料

  • 21日:米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨(7月30、31日開催分)
  • 22日:米ジャクソンホール会合(カンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム、24日まで)
  • 23日:7月の全国消費者物価指数(CPI)
  • 23日:衆参両院が閉会中審査。植田日銀総裁や鈴木俊一財務相が出席

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