(ブルームバーグ):来週の円相場は下落しそうだ。23日にパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム(ジャクソンホール会合)で講演し、9月の大幅利下げ観測を押し戻す内容になるとドルが買われやすい。同日には日本銀行の植田和男総裁が衆参両院の閉会中審査に出席する予定で、円の動意につながるか注目される。
市場関係者の見方
りそなホールディングス市場企画部の井口慶一シニアストラテジスト
- パウエル議長の講演が一番の注目で、前のめりの利下げ織り込みを追認する発言はないと思う。ただインフレが順調に鈍化しているため、9月からの利下げ開始を匂わせる可能性がある
- 植田総裁の意見聴取は、内田真一副総裁の発言が参考になりそう。利上げが可能な環境になっているものの、資本市場が混乱している間は利上げはないということは伝えそう
- 円相場は市場環境が落ち着く中で水準を下げる可能性が高い。1ドル=151円台に位置する200日移動平均線や7月からの上昇の半値151円台後半が意識される
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジスト
- 注目はパウエルFRB議長の講演や米購買担当者指数(PMI)での米景況感の確認になる。米国の行き過ぎた利下げ観測が修正されて、どの水準で落ち着くかがポイント
- 円相場は短期的には下値を探る展開になりそうで、パニック的なポジション調整が終わり、改めて円キャリーに取り組む動きも想定される。もっとも円安・株高が進行すると日銀の利上げ観測が高まり、円の下値を支えそう
- 151円台までの下値余地がある一方、上値は146円台を見込む。円売りポジションもこれまでのように積み上がることは想定しづらく、巻き戻しが円を支えやすい
来週の注目材料
- 23日:
- 衆参両院が閉会中審査、植田日銀総裁や鈴木財務相から意見聴取
- パウエルFRB議長がジャクソンホール会合で講演
来週の主な予定
- 19-22日:米民主党が全国大会を開催
- 19日:7月の米景気先行指数、ウォラーFRB理事が発言
- 20日:20年国債入札
- 21日:7月の貿易収支、日銀国債買い入れオペ、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月30-31日開催分)
- 22-24日:ジャクソンホール会合
- 22日:米新規失業保険申請件数、8月の米製造業・サービス業PMI、7月の米中古住宅販売件数
- 23日:7月の全国消費者物価指数、7月の米新築住宅販売件数
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