(ブルームバーグ):8月第3週(19-23日)の日本株は上昇の見込み。米国景気に対する過度な懸念が後退する中、9月の利下げ観測が維持されればソフトランディング(軟着陸)への期待が強まり、買いが優勢になりそうだ。一方、日米で金融当局者の発言を週後半に控え、投資家の様子見姿勢が強まる可能性もある。

第2週の東証株価指数(TOPIX)は7.9%高と5週ぶりに反発。米国で消費や雇用に関する指標が景気の底堅さを示し、景気失速への懸念が和らいだ。国内でも実質国内総生産(GDP)が市場予想から上振れし、投資家のリスク選好ムードが相場を支えた。

22-24日に米ワイオミング州ジャクソンホールでカンザスシティー連銀主催の年次シンポジウム(ジャクソンホール会合)が開催される。市場が9月の利下げを織り込む中、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長らが利下げに前向きな姿勢を示せば株式市場に買い安心感が広がる。20日には米アトランタ連銀総裁の発言も予定されている。

国内では衆参両院が23日に閉会中審査を開催し、日本銀行による利上げや株式市場の反応について植田和男総裁らから意見聴取する。内田真一副総裁に続いて市場に配慮する発言がなされれば相場の支えとなる。総務省が同日発表する7月の全国消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除くコアCPIの市場予想が前年同月比2.7%上昇と、前月の2.6%から伸びが拡大する見込み。

《市場関係者の見方》

T&Dアセットマネジメントの浪岡宏チーフ・ストラテジスト

株価は回復局面にあり、比較的堅調さを維持するだろう。ただ、日経平均株価は過去3カ月で売買代金が大きかった3万8000円に近づく中で戻り売りが出やすくなり、緩やかな上昇となりそうだ。ジャクソンホール会合ではパウエルFRB議長の講演があり、週前半は投資家の様子見姿勢が強まるとみる。9月の米利下げに前向きな発言がなければ米株安に日本が連れ安するリスクはある。

セゾン投信の瀬下哲雄マルチマネジャー運用部長

第2週に米国景気の悪化に対する行き過ぎた懸念が緩和し、国内のGDPも堅調だったことを踏まえると、相場は堅調に上がっていくだろう。ジャクソンホール会合は例年に比べ話題にはなっていないが、パウエル議長の利下げに慎重なスタンスが変われば材料視され得る。

--取材協力:田村康剛.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2024 Bloomberg L.P.

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。