(ブルームバーグ):日本取引所グループが16日に発表した投資部門別売買状況によると、日本株が暴落した8月第1週(5-9日)に海外投資家は株式先物を1兆2725億円売り越した。保有資産の評価減を抑えるヘッジ売り需要が高まった上、市場で指摘されていた先物を使って短期売買を行うヘッジファンドや商品投資顧問(CTA)の存在が裏付けられた格好だ。
8月1週の日経平均株価は、雇用統計を受けて米国の景気減速懸念が強まったほか、リスクオフによる為替の円高推移が嫌気された5日に4451円(12%)安と史上最大の下げ幅を記録。その後戻り歩調となり、週間下落率では2.5%にとどまった。
こうした中で海外勢による先物の売越額は昨年10月1週以来の高水準に膨らんだ一方、現物株は4週ぶりに買い越し、買越額は4954億円だった。現物と先物の合計は7772億円の売り越し。合算ベースでは4週連続の売り越しで、累計売越額は4兆2000億円に及ぶ。
しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンドマネジャーは、海外投資家には「2種類いる」と指摘。日本銀行の利上げや米国景気の減速懸念などに反応する向きは「先物を使って短期的な視点で売りに動く人が多い」とした半面、「日本のバリュエーションやファンダメンタルズ(経済の基礎的要因)を見ている投資家は買い優勢だったのではないか」と述べた。
一方、買いに回った主体は国内の事業法人と年金基金の資産運用などを反映する信託銀行だ。事法の現物買越額は5060億円と、2015年12月以来の高水準に達した。株価が急落した局面で多くの企業が自社株買いを実施したと市場ではみられている。
また、信託銀は現物で2171億円、先物で2040億円それぞれ買い越しており、海外勢の強烈な売りを日本の企業と機関投資家の買いが吸収する展開となった。
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