(ブルームバーグ):米連邦準備制度理事会(FRB)のボウマン理事は10日、インフレの上振れリスクと労働市場の持続的強さが見られると述べた。連邦公開市場委員会(FOMC)の次回9月会合で利下げを支持する用意がない可能性を示唆した。

ボウマン理事はカンザス銀行協会の講演で、「5月と6月にインフレ鈍化が進んだことは歓迎すべきことだが、インフレ率は委員会の目標である2%を依然として不快なほど上回っている」と指摘。「私は、現在の政策スタンスの調整を検討するにあたり、慎重な姿勢を崩さないつもりだ」と述べ、米国の財政政策、移民による住宅市場への圧力、地政学的リスクなど、すべてが物価上昇圧力になり得ると付け加えた。

ボウマンFRB理事

パウエルFRB議長は7月31日、9月17、18両日開催の次回FOMC会合で利下げが選択肢になり得ると述べた。7月の雇用統計が予想以上に低調だったことから、エコノミストや投資家の間では利下げ観測が高まっていた。

ボウマン理事は、失業率が4.3%に急上昇したことについて、労働市場の冷え込みの程度を誇張している可能性があると指摘。「今年の失業率上昇は、主に雇用の弱まりを反映している。労働力として働くようになった求職者が仕事を見つけるのに長く時間がかかる一方、解雇は依然として低水準だ」と述べた。

同理事は一方で、利下げを長く待ち過ぎるリスクも認め、インフレデータが改善し続ければ、「金融政策が過度に景気抑制的になるのを防ぐため、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を徐々に引き下げるのが適切になるだろう」と語った。

原題:Fed’s Bowman Sees Upside Inflation Risk, Signals Caution on Cuts(抜粋)

--取材協力:Reade Pickert.

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