(ブルームバーグ):日本銀行が31日に結果を発表する金融政策決定会合では、国債買い入れの減額計画と同時に追加利上げの決定があるかに市場の関心が集まっている。今後1-2年程度の減額計画では減額幅やペースが焦点となる。
ブルームバーグが17-22日にエコノミスト48人を対象に実施した調査では、29%が日銀が今会合で追加利上げを行うと予想した。その後の金融政策に関する要人発言などを受けて利上げ観測が拡大しているものの、実際に決まれば一定のサプライズも想定される。
米連邦公開市場委員会(FOMC)が同じ日程で開く会合では、金融政策の維持が見込まれる一方、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が数カ月以内の利下げを示唆する可能性もある。日米金融政策を巡るニュースが、為替相場など金融市場の動向を左右することになりそうだ。
複数の関係者によると、日銀内には賃金と物価の好循環に不可欠な個人消費の回復を確認したいとの意向がある一方、経済・物価が日銀見通しに沿って推移する中で利上げに前向きな声もある。日銀は利上げの継続姿勢を明確にしており、利上げを見送っても、植田和男総裁の記者会見ではタカ派的な発信が行われる可能性が高い。
国債買い入れの減額計画に関しては、金融機関の実務担当者との会合などを経て、不透明感は大きく後退している。ブルームバーグ調査では現在の月間6兆円程度をまず5兆円に減額し、2年後に3兆円まで圧縮するというのが中心的な予想となっている。これと大きくかい離した数字になれば、市場が変動する可能性がある。
ブルームバーグ・エコノミクスの見方
「日銀は30、31日の会合で、政策正常化に向けて、追加利上げと国債買い入れの減額開始というさらに二つの大きな措置を講じる可能性が高い」
木村太郎シニアエコノミスト
他のポイント
・新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、消費者物価の基調的な上昇率が2026年度までの見通し期間の後半に2%の物価安定目標とおおむね整合的な水準で推移するとのシナリオに変化はない見通し
・消費者物価見通しは、生鮮食品を除くコア、生鮮食品とエネルギーを除くコアコアが、共に26年度に2%程度の見方を維持する公算が大きい
・1-3月期国内総生産(GDP)改定値の下方修正を受けて、24年度の実質成長率見通しは下方修正へ
・河野太郎デジタル相や自民党の茂木敏充幹事長が利上げや金融政策正常化の必要性などに言及しており、総裁会見では政治圧力とも言える発言について見解を問われる可能性
・利上げが行われる場合、0.15%の上げ幅で新たな政策金利水準は0.25%程度になる公算が大きい
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