兵庫県姫路市のバス会社が、ドライバー不足を解消するために、“ある業界”との連携を強化しています。長年の課題である人材不足の救世主とは?

兵庫県姫路市のバス会社、神姫バスの教習所。バスの中には、真剣な表情でハンドルを握りしめる女性の姿がありました。

この女性、実はサッカー選手です。
【ASハリマアルビオン 中野里乃選手(29)】「ASハリマアルビオンの中野里乃です」

■バスの運転体験会 女子サッカーの選手やコーチが参加

24日、開催されたのは、神姫バスがドライバー確保のために毎月行っている運転体験会の特別版。

参加したのは、日本女子サッカーリーグ「なでしこリーグ」に所属する「ASハリマアルビオン」の選手やコーチ合わせて6人です。

実は神姫バスは7月、女子野球チーム「兵庫ブルーサンダーズ」の中で、バス運転手に興味のある選手に対して情報提供を行うプロジェクトを立ち上げたばかり。

現在10人ほど運転手が不足しているという神姫バスは、スポーツ選手に注目する理由についてこう話します。

【神姫バス人事部 中右忠さん】「バスの運転手の仕事は、どちらかというと変則勤務なんです。朝が早かったり、昼からの仕事であったりというような変則的な勤務ですから、だからこそ、練習の時間以外でお仕事をしていただける時間が、逆にうまくこう融合できる働き方ができるんじゃないかなと思ってます」

選手たちに、バスの運転経験はありません。

【神姫バス 指導員】「今日のブレーキは乗用車と違うエアブレーキになってます。このプッシュ音ですね」
【ASハリマアルビオン 小島選手】「エア?」
【神姫バス 指導員】「エアーですね」

不安もある中で、おそるおそる運転席についたのは、背番号18番、献身的なプレーが魅力の中野選手です。

【神姫バス 指導員】「衝撃が強くなります」
【ASハリマアルビオン 中野選手】「ちょっと待ってください。軽くでいいんですね?」
【神姫バス 指導員】「まっすぐにした所で止まることを意識しますね。左クラッチ踏んでブレーキです」

ボール捌きならお手の物の中野選手ですが、バスのペダル捌きは、同じようにはいかないようです。

【神姫バス 指導員】「クラッチ踏んで3速に入れます。クラッチクラッチ踏んで…」
【ASハリマアルビオン 中野選手】「はあ、足が…」
【ASハリマアルビオン 原田選手】「右も左も使うからね」

(Qやってみていかがでしたか?)
【ASハリマアルビオン 中野選手】「疲れました」

しかし、さすがは身体能力に秀でたスポーツ選手。しばらくすると、コツをつかみ始めマした。

【神姫バス 指導員】「修正力が早いね。やっぱり運動されているからかな。1回目で失敗したところ、もう2回目で修正してきてるからね。センスありますよ」
(Qぜひ欲しい人材?)「欲しいね。もう引退したら来てほしい」

■サッカー選手にとって「セカンドキャリア」は課題

バス会社との連携は、実はサッカー選手側にも大きなメリットがあります。

【ASハリマアルビオン 小島美玖選手】「仕事はもう人それぞれなんで、終わった人から練習来て、準備してって感じです」

【ASハリマアルビオン 中野里乃選手】「(仕事は)お部屋の掃除しに行ったりとか、駐車場の管理とか、いろいろやらせていただいています」

日中はチームのスポンサー企業などで働き、競技と両立した生活を送る、ASハリマアルビオンの選手たち。引退後のセカンドキャリアは、スポーツ選手にとって大きな課題となっていて、その中で、神姫バスの取り組みが選択肢を広げてくれているということです。

【ASハリマアルビオン 広報 石原千沙都さん】「25歳から30代の間で引退する選手が多いかなと印象を受けています。バスの運転手からいろいろ事務職など、視野を広げていけたらなと思います」

【神姫バス人事部 中右忠さん】「私どもとしましては、このバス事業というのはこれからも続けていきたい。そのためにはやはりバス運転士いうのは非常に大切です。一緒に地域貢献をしていただける、そういった方をこれからも採用していきたいと思っております」

長年の課題である“バスの運転手不足”。救世主はスポーツ選手かもしれません。

■バス会社・スポーツ選手 双方にメリットがある取り組み

バス会社にとっても、選手の側にとっても双方にメリットがあるということです。

【菊地幸夫弁護士】「運転手さんって、私たちが利用する時に、比較的ご高齢の方が多いような印象を感じるんですけど、こういう若い方たちが入っていくというのは、とてもいいことだと思います。ただ団体競技なので、チームとしての練習と、バスの乗務が合うかどうか気になります。不規則なお仕事ですから」

時間配分はどのようにしていくのでしょうか。

【関西テレビ 神崎報道デスク】「乗務時間は調整できると思います、企業側で。あと引退後のセカンドキャリアという意味が大きくて、サッカー選手は選手寿命が短いので、辞めた後に大型2種免許の資格があると非常に大きくて、全国どこでも通用する免許ですので、そういう意味で選手の間にセカンドキャリアを考えながらこういう資格を取ることは大きなことじゃないかと思います」

あと地域の企業がスポーツチームと協力するということで地域の活性化にもつながるということです

(関西テレビ「newsランナー」 2024年7月25日放送)

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