当社は老舗の豆腐製造業者として55年、地域密着で豆腐の製造販売をしてきた。県内の量販店や学校給食、病院、社会福祉施設、飲食店など多くの得意先に納品している。

 代表就任後、会社の課題は多々あった。属人化した生産業務、紙ベースの業務進行、従業員の高齢化、食の安心安全の強化、営業活動の強化など。会社を永続的に続けるために何が先決かを模索した。

 そして2022年に「首里豆腐サスティナビリティプロジェクト」を立ち上げ、スタートさせた。

 ITコンサルタントの支援のもと、熱意を持ってスタッフと取り組み、受注や製造、売り上げ分析まで、全ての業務で、属人的になっていたプロセスを見直した。経営陣や各部署のリーダーへ、何度もヒアリングと現場確認作業を行った。

 売上高や利益向上には新商品の開発も必要だが、まずは既存事業の整備を優先した。業務改善でミスが減り、生産性が向上すれば、新たな挑戦も可能になると考えた。

 そのためには経営層と管理職のリーダーシップ強化が必要であり、次世代人材の育成が急務だった。従来の事業を守りつつ、新たな価値を創造する。ファンを増やし、社員が誇れる「かっこいい豆腐屋」の実現を目指した。

 会社のあるべき姿を想像してもらうために開いた勉強会では、さまざまな改善ポイントが見えてきた。

 品質管理の徹底、次世代リーダーの育成、業務範囲の明確化、受注業務のデジタル化、製造工程の見える化、社員の多能工化-。

 同プロジェクトは23年、県のDX促進支援事業に200件以上のエントリーの中から採択され、補助をいただくことができた。

 業務改善に会社全体で取り組んだ結果、業務効率が上がり、作業時間も大幅に削減された。現場スタッフの協力なしには成し遂げられなかったと思う。

 現在は新たな商品開発に向け取り組みを進めている。スタッフと共にワクワクできる職場環境になるよう、努めていきたい。

(照屋食品社長)

次回は糸数真由美氏(沖縄振興開発金融公庫調査部金融経済調査課長)です。

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